北部山岳地帯に居住している少数民族ザオ族は民族衣装や風俗習慣によっていくつかのグループに分かれていますが、その中の「ザオカウ（Dao Khau）」というグループはライチャウ省シンホ県に集中的に住んでいます。ザオカウグループは、最もよいことは日の出とともに現れると考えているので、結婚で最も重要な式とされる花嫁を迎える式を早朝にスタートさせる習慣があります。
 ザオカウグループの結婚式 |
ザオカウグループの人々は3日間にわたって結婚式を行うのが一般的です。その中で特に、1日目と2日目は重要です。1日目は花婿の家族で行われる宴席、2日目は花嫁を迎える式です。深夜まで行われるこの宴席では、花婿と花嫁の家族のほか、村人も集まって、歌垣で民謡を歌ったり、話し合ったりします。シンホ県タフィン村に住むタン・ミ・ザオさんの話です。
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「深夜の宴席は花嫁を迎える式の前に花婿側で行われます。宴席には両家の両親と親族、そして、媒酌人が参加します。その目的は花婿の家族が花嫁の家に婚礼用品を十分に持って行ったのかを調べるためです。チェックした後、両家は互いに婚姻関係を認め合います。」
翌日の早朝、花婿側の人たちはドカドカと賑やかなラッパと太鼓のアンサンブルに合わせて花嫁の家に向かいます。出発する前に、祈祷師は祭壇の前に座り先祖に報告する儀式を行い、花嫁を迎える式がうまく行くようにというお祈りをします。花嫁の家が花婿と花嫁のから遠いところにある場合は、花婿の家族が花嫁の家に行くことなく、両家は途中の場所で会うことを約束します。両家が会えば、アンサンブルは決まりに沿って演奏します。シンホ県ファンソリン村に住むラッパの演者チェオ・ア・ソアンさんは次のように話しました。
（テープ）
「アンサンブルは決まりに沿って、花嫁の家族の間を回りながら、演奏します。この決まりは、3回にわたって反時計回りに回った後、3回にわたって時計回りに回るということです。反時計回りは「絞る」、時計回りは「開く」という意味で、花嫁の家族に対する花婿の家族の尊敬を示するものです。6回にわたって回った後、アンサンブルの頭は花嫁の家族の媒酌人と挨拶を交わします。その後、アンサンブルが率いる両家の人たちは花婿の家へ向かいます。」
 花嫁に不運が訪れないように神様と先祖にお願いする儀式 |
花婿の家へ向かう時、アンサンブルの演奏は休まずに連続しなければなりません。花婿の家に着いたら、花嫁は正門の前に一人で立ち、祈祷師は花嫁に不運が訪れないように神様と先祖にお願いする儀式を行います。シンホ県シンホ町に住む祈祷師は次のように語りました。
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「この儀式が終わった後、息子と娘を持つ幸せな結婚生活を送っている女性が祭壇の前に、花嫁が実家から持参した布団を敷きます。花嫁は祭壇を向いて布団の上にひざまずきます。その後、家の正門に大きく赤い布がつけられます。これは新婦が来たことの兆しです。同時に、祈祷師は花嫁が正式に花婿の家族の一員になったことを宣言します。」
こうした花嫁を迎える式はザオカウグループの豊かな文化を反映するものであり、現在もなお昔と変わらないまま大切に守られています。