ヌン族の独特な長寿祝いの儀式

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(VOVWORLD) - 儀式「タイコアン」は、長寿を祝う儀式として知られ、少数民族ヌン族によって誕生日や春の初めによく行われます。これは、北部山岳地帯バッカン省ナリ県に暮らすヌン族のコミュニティで昔から行われてきた独特の儀式です。
ヌン族の独特な長寿祝いの儀式 - ảnh 1儀式「タイコアン」の様子

(現場の音)

春は家族の平穏で豊かな生活と幸福を祈る儀式の季節です。その中には高齢者の長寿を祝う儀式「タイコアン」が行われます。バッカン省ナリ県スアンズオン村チャン集落に暮らすノン・バン・ホ―さんは、儀式「タイコアン」を何回も主宰した祈祷師として知られています。ホーさんは、家族の誰かが長寿を祝う年齢に達すると、その家族は「タイコアン」を行うため、祈祷師に縁起の良い日を尋ねに行くと述べ、次のように語りました。

(テープ)

「70歳以上の両親がいる家庭では、儀式『タイコアン』が行われます。この儀式はお祝いされる人の誕生日に行なわれるのが一般的です。また、この儀式は旧正月テトの休暇中に行われることも多いです。これは、家族全員を集めて、年始に家族が不運に見舞われないことを目的とするからです」

ヌン族の長寿祝い式に用意されるお供え物には、4羽の雄鶏と2羽の雌鳥を含む6羽の鶏が必要です。そのほかのお供え物はご飯やお菓子、お餅などです。特別な点は、お供え物としてお酒ではなくお茶を用意することです。儀式の前には、雄鶏3羽と雌鳥2羽をつぶしますが、残りの雄鶏1羽は、祈祷師が儀式中に使うお供え物として生きたままにします。

バッカン省ナリ県スアンズオン村ナザム集落に暮らすノン・ヴァン・クオンさんは母親の80歳の誕生日を祝う式を行ったところです。クオンさんの話です。

(テープ)

「今年、私の母は80歳になりました。国は母の生誕祭を主催してくれましたが、ヌン族の習慣に従って、私の家族は依然として母の長寿を祝うために『タイコアン』式を執り行いました。昔から伝わる習慣では、この儀式を執り行うとすれば、3年連続で行う必要があります。また、以前は夜間に儀式が行われることが多かったのですが、現在では日中にも儀式を行うことが可能になりました」

ヌン族の独特な長寿祝いの儀式 - ảnh 2儀式「タイコアン」用の祭壇

ヌン族の長寿祝いの儀式は、祈祷師によって主に 2 つの手順で行われます。一つ目は、村の守護神を祀る社(やしろ)から家の中にある祖先の祭壇までの道を作る過程を象徴する儀式です。二つ目は家族が不運に見舞われないようにする式です。この手順では、祈祷師は、「プット」という民謡を歌いながら、式を行います。祈祷師の歌とお祈りは、式の各段階に対応します。先ほどの祈祷師ホーさんのお祈りをお聞きいただきましょう。

(テープ)

「縁起の良い今日、家族の子供たちと孫たちは祖父母のために儀式『タイコアン』を行い、祖父母の命の米俵を補い、命の橋をさらに長くつなぎました。ご先祖が健康で、子孫に囲まれて楽しく長生きされますようにお祈りいたします」

安寧と幸運を祈願する式の後、祈祷師は「スラウルォン・スラウラン」と呼ばれる「家の清めの式」を執り行います。この式は、長寿祝いを受ける人をはじめ、その家族から不運を払拭するための最後の式です。

バッカン省に暮らすヌン族の「タイコアン」式は、美しい風習であり、人間愛に溢れ、「水を飲む者は泉を想え」という道理を体現しています。

この儀式は家族の高齢者の誕生日を祝うだけでなく、子孫が親への孝行の心を表し、両親や村の年長者に対する感謝の気持ちを示す機会でもあります。

子孫は、自分たちを育ててくれた両親と高齢者への恩返しとして、この儀式を通じてその功労に報いると同時に、いつまでも健康で長生きしてほしいという願いを込めています。

先人への感謝と敬意を払うこの風習は、家族の絆を強め、世代を超えた絆と調和のとれた社会を育む役割を果たしています。ヌン族にとって大切な精神文化遺産であり、次世代への継承が重要視されています。

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