イギリス・ロンドンにある週刊「エコノミスト」編集部の本社(写真:REUTERS/Peter Nicholls) |
地政学の動向についてスタンデージ氏は、世界最大の大国の指導者が、従来の大局的な地政学モデルではなく、取引や合意を重視する姿勢をとることで、既存のルールに基づく国際秩序は引き続き弱体化するとの見方を示しています。一方で、防衛、貿易、気候変動などの分野では、「自発的な同盟」が新たな合意を形成し、別の形の国際秩序が徐々に生まれていく可能性があると指摘しました。
経済面では、アメリカのドナルド・トランプ大統領による関税政策が、世界経済の成長を抑制する要因になると分析しています。加えて、債券市場の危機リスクが高まっているとも警告しました。特にヨーロッパは、防衛費の増額、経済成長の促進、巨額の財政赤字への対応という課題を同時に抱えながら、自由貿易の擁護や環境保護の先導役を担おうとする点で、極めて厳しい局面に直面すると予測しています。
人工知能(AI)の分野では、スタンデージ氏は、AIインフラへの大規模投資が経済の弱点を覆い隠している可能性があると指摘し、AIバブル崩壊のリスクと、それに伴う深刻な経済的影響に疑問を投げかけました。
また、2026年の気候見通しについては、地球の平均気温上昇を1.5度以内に抑える目標は「もはや不可能だ」との厳しい認識を示しつつ、地熱エネルギーが注目すべき分野になるとの見解を示しています。