昨年10月7日のイスラエル奇襲を首謀したとされるシンワル氏の死亡は「イスラエルにとって軍事的にも道徳的にも偉大な成果だ」とされました。
また、ネタニヤフ首相は声明で、シンワル氏の死が中東和平の機会をもたらすとしながらも、まだ任務は終わっていないと指摘しました。人質の家族に向けて「これはこの戦争における決定的瞬間だが、人質が全員帰還するまで全力で攻撃を続ける」と言明しました。
イスラエル軍はガザ南部ラファ市での通常作戦中にハマスの戦闘員3人を殺害したと発表し、その後シンワル氏の死亡を確認しました。情報に基づき指導者らを狙う作戦とは異なり、シンワル氏と知らずに遭遇したと明かしました。
ハマスは公式コメントを出していませんが、関係筋はシンワル氏がガザ南部で殺害された兆候があると述べました。
アメリカのバイデン大統領は声明で、シンワル氏が目標の達成に向けた大きな障害だったとした上で、「その障害はもはや存在しない。しかし、なお多くの課題が残っている」と述べました。
またホワイトハウスによりますと、バイデン氏がネタニヤフ氏と電話会談し、シンワル氏の死亡を機にいかに人質を帰還させ、戦争を終結させるかについて協議しました。
欧米は停戦を望んでいますが、シンワル氏殺害が中東での対立を激化させる恐れもあります。イスラエルは親イラン武装組織ヒズボラを標的にレバノンでも地上作戦を進めているほか、イランが今月行ったミサイル攻撃への報復も計画しているとしています。とはいえ、シンワル氏の死亡が行き詰った停戦交渉を前進させるきっかけになる可能性はあります。ガザとイスラエルの当局によりますと、今回の紛争でイスラエル側で約1200人が死亡、250人以上が人質になった一方、パレスチナ側の死者は4万2000人以上に上っています。
レバノン当局の発表した数字をCNNが集計したところ、9月16日以降のイスラエル軍の空爆によって、レバノンでは1800人以上の死者が出ています。イスラエルはパレスチナ自治区ガザ地区北部に対しても空爆を行い、ガザの保健省によれば、少なくとも87人が死亡しました。
イスラエルのガラント国防相は20日、北部の国境を視察しました。ガラント氏はイスラエル軍の兵士に対して、レバノン南部でのヒズボラとの戦いは「敵の打倒から、敵の破壊へと移行している」と語りました。