先ごろ、アメリカ経済雑誌の「フォーブスベトナム誌」は、「インスピレーションを与えた20人の女性2021年版」を公表しました。その中には、南部メコンデルタ地方のドンタップ(Dong Thap)省タップムオイ(Thap Muoi)県フンタン(Hung Thanh)村に住む63歳のチャン・ティ・キム・ティアさん(別名:サウ・ティアさん)がいます。彼女は、かつて宝くじ売りの仕事で生計を立ていましたが、この1年余りに、健康の理由で、この仕事をやめました。しかし、17年間続けてきた子どもに無料で水泳教えることは続けています。
今年の「インスピレーションを与えた20人の女性」に選ばれた他の19人の女性と比べたら、サウ・ティアさんは、本当に多くの違いがあります。社会的な地位も、学歴もありませんが、彼女の貢献は、コミュニティにとって有意義なものとなっています。フンタン村は、現地で一、二を争うほど運河が多い所です。また、水難事故で子供を亡くした家族らの痛みを理解し、地元の子供たちに水泳を教えることにしました。これまでにサウ・ティアさんが教えた子供たちの数はおよそ4000人に上っているからです。
彼女は、水泳が出来ない7歳~15歳までの子どもの家に行って、親たちに子どもの水泳教室への参加を働きかけます。サウ・ティアさんのお陰で泳げるようになった二人の孫を持つハーお婆さんは次のように語りました。
(テープ)
「家の周りには河川が多いんだよ。孫たちは泳げなくて、とても心配だよ。私は、毎日、一人で3人の孫を見守っているから、サウ・ティアさんに2人の孫を水泳教室まで送迎してもらってますよ。」
サウ・ティアさんは、子供たちへの愛情を込めて、丁寧に教えています。彼女は子供たちが泳げるようになるまで教えます。チャン・ミン・タンちゃんは、「洪水シーズンになると、私と友だちは、魚釣りや、ネズミとりなどによく行くが、泳げないから、とても怖かった。そこで、サウ・ティアさんの水泳教室に参加することにした。一週間だけで、泳げるようになったよ」と明らかにしました。
(テープ)
「両親から泳げ方を教わったけど、なかなか泳げませんでした。サウ・ティアお婆さんは、毎日のようにそれぞれの動きを注意深く教えてくれたお陰で、泳げるようになりました。これからは、安心です。洪水になっても水難事故が怖くなくなります。」
水泳教室は、毎年の夏休みの間に開かれます。コースは毎日90分間ずつ、約10~15日間となっています。教室は各集落の運河や川です。水泳教室は、竹を川底に突き刺して網で囲み、幅4m、長さ8m、深さ2mのプールです。それぞれの教室にはおよそ30人の子どもがいます。
サウ・ティアさんの話によりますと、今までずっと独り身の生活を送っているので、時間があり、子供に水泳を教えたり、地元の社会活動に参加することができるのです。
サウ・ティアさんは次のように語りました。
(テープ)
「私は、まだ元気なので、もっと多くの子どもたちに教え続けたいです。私には、物的財産がありませんが、子どもや周りの人々への愛情はいっぱいですよ。ですから、私は貧しい人ではありません。出来る限り、社会に貢献したいと思います。」
サウ・ティアさんの有意義な行動について、タップムオイ県宣伝教育委員会のグエン・ティ・ハック副委員長は次のように明らかにしました。
(テープ)
「サウ・ティアさんは歳とった人ですが、子どもたちに水泳を教えたいようです。彼女の行いは、素朴ですが、地域共同体にとって心を打たれるお手本となっています。」
サウ・ティアさんは、子どもたちの水泳普及において優れた成績を収めてきたことで、国家主席からの労働勲章3等、首相からの表彰状などを授与されました。