この呼びかけはPCAが2016年7月12日、中国が独自に設定し主張する境界線、いわゆる 「九段線 」に言及して、中国は「南シナ海の海域内の資源に対する歴史的な権利を主張する法的な根拠を有しない」との裁定を下してから5周年にあたり、出されたものです。
12日、多くの国はベトナム東部海域(南シナ海)の平和、安定、発展の維持に対するPCAの裁定の法的価値を強調する声明を出しました。アメリカのアントニー・ブリンケン国務長官は「南シナ海でのルールに基づく海上秩序の維持は他の海域よりも大きな試練に直面している。というのは中国が東南アジアの沿岸国を制圧し、海上の自由航行を脅かしているからである」と強調しました。
他方、カナダ政府は中国の一方的な行為に懸念を示すとともに、当事者に対し、2002年、調印されたDOC=海上行動宣言を遵守し、自制をして、一方的な行為を回避するよう呼びかけました。
こうした中、南シナ海をめぐる中国の主張は認められないとしたPCAの判断から12日で5年となったことを受け、日本の茂木外務大臣は「判断を受け入れないという中国の主張は、国際社会における法の支配を損なうものだ」と厳しく指摘する談話を発表しました。また、「当事者がこの判断に従うことにより、南シナ海における紛争の平和的解決につながることを強く期待する」と強調し、「すべての海洋権益に関する主張は国連海洋法条約に基づく必要があり、わが国は、南シナ海における条約と整合的でない主張に改めて反対し、引き続き現地の状況を深刻に懸念している。力や威圧による一方的な現状変更の試みへの強い反対を改めて表明する」としています。
一方、オーストラリアのマリズ・ペイン外相は当事者に対し、PCAの裁定の順守を呼びかける。というのはこの裁定は中国とフィリピンともに拘束力があるPCAの最終の司法判断であるからである」と強調しました。また、国際法の順守は地域の平和、安定、繁栄の維持と紛争の平和的解決に基盤をつくるとしています。