ベトナムはこれまでも「健康は人間と社会の最も貴重な財産」として位置づけてきましたが、今回の決議72号は、さらに一歩踏み込んだ内容となっています。
何が画期的なのか
決議72号の最も注目すべき点は、来年2026年から、ベトナム国民全員が年に1回、無料で健康診断を受けられるようになることです。
また、健康保険の加入率を95%以上に引き上げ、全国すべての村の診療所に十分な設備と人材を配置する計画も発表されています。トーラム書記長はこの政策の基本理念について次のように語りました。
(テープ)
トーラム書記長 |
「予防を重視し、基盤を強化し、国民を中心に据える。目標は健康寿命の延伸、患者負担の軽減、医療システムのデジタル化、基礎医療の強化、サービス品質と国民満足度の向上にあります。」
決議72号では、これまでの医療制度を大きく転換し、病気の治療だけでなく、予防から精神的ケア、体力向上まで幅広くカバーする総合的な健康管理を目指すとしています。
この政策では、健康を「単に病気がない状態」ではなく、「身体的、精神的、社会的に完全に良好な状態」と定義しています。レー・タイン・ロン副首相は次のように述べています。
(テープ)
レー・タイン・ロン副首相 |
「今回の決議は、従来の党の方針を受け継ぎながらも、より具体的な重点項目を盛り込んでいます。国民の健康を包括的な視点で捉えることで、具体的な解決策を打ち出すことができるのです。目標は、全国民が健康管理を受けられる社会の実現です。そして社会全体で病気を予防する体制を築き、新時代のベトナムの発展を支える重要な力にしたいと考えています」
社会への影響
この政策が実施されれば、ベトナム社会に大きな変化をもたらすと期待されています。
まず経済面では、健康な国民が質の高い労働力となり、国の生産性向上につながります。社会保障面では、すべての国民が質の高い医療サービスを受けられることで、社会の公平性が高まります。
さらに、しっかりとした医療システムは、感染症や自然災害などの緊急事態にも対応できる国家の基盤となります。
バックマイ病院のダオ・スアン・コー院長は、この政策について次のようにコメントしています。
(テープ)
「ベトナム国民の誰もが喜び、支持するに違いないと思います。特に年1回の無料健康診断は素晴らしい政策です。また、村レベルでの医療体制の強化により、住民が生まれ育った地域で適切な医療を受けられるようになります。これは間違いなく正しい政策です。」
決議72号は、国連の持続可能な開発目標、特に「すべての人の健康的な生活の確保」という目標の実現に向けた、ベトナムの強い意志を示すものでもあります。
これは単なる国内政策にとどまらず、ベトナムが人道主義に基づく国家として、人間を中心とした政策の推進を国際社会にアピールする重要なメッセージとなっています。