ベトナム国会 |
圧倒的な支持を集めた意見聴取
まず、この数字に驚かれるかもしれません。なんと2億8千万件を超える意見が寄せられ、そのうち99%以上が賛成だったのです。これは5月6日に公表された2013年憲法の一部改正案について、約1か月間にわたって実施された国民意見聴取の結果です。
この憲法改正は、ベトナムの国家発展に合わせた制度づくりの一環として位置づけられています。改正されるのは憲法120条のうちわずか8条ですが、その内容は非常に重要です。地方政府を2層制に移行することや、行政機構をスリム化すること、そして何より国民主権を強化するといった、根本的な改革が含まれています。
誰でも参加しやすい仕組みづくり
今回の意見聴取で特に注目すべきは、その参加しやすい仕組みです。国会や政府の電子ポータルサイトでの意見募集はもちろんのこと、全国で28万回以上の説明会や座談会が開催されました。
さらに画期的だったのは、電子身分証明アプリ「VNeID」というスマートフォンアプリを使った意見聴取です。このアプリを通じて、なんと2千万人以上の市民が直接意見を表明しました。
実際に参加した北部クアンニン省の住民の方は、次のように話しています。
(テープ)
「すべて事前にプログラムされているので、必要な情報を入力してチェックするだけ。とても簡単でした。スマートフォンがあれば、どこにいても参加できるのが良いですね。これは私たちにとって大切な政治的責任だと思っています」
広がる改革への期待
寄せられた意見は、単なる法律の条文についてだけではありませんでした。国の組織のあり方、市民の権利、経済制度、環境保護、デジタル化まで、非常に幅広い分野にわたっていました。
中部ダクラク省のグエン・ミン・ホアさんは、次のように語っています。
(テープ)
「今回の改正で特に注目しているのは、行政の簡素化です。省の統合や県レベルの廃止など、長年の方針が実現に向かうことを強く支持しています」
ベトナム祖国戦線中央委員会のホアン・コン・トゥイ副委員長も、この結果について次のようにコメントしています。
(テープ)
「大多数の意見が改正の必要性で一致し、新しい2層制地方政府の構築に期待を寄せていることが分かりました」
民主主義の新たな形
今回の取り組みは、単なる意見聴取以上の意味を持っています。全国民が参加できる政治活動として、制度改革への団結と決意を示す場となりました。
この結果は、ベトナム全土で憲法改正への高い合意が形成されていることを改めて確認しました。そして何より、今後の政策づくりにおいて、国民の声をどのように反映させていくかという貴重な経験になったと言えるでしょう。