2030年および2045年に向けて、先進的で豊かな強国となることを目指し、ベトナムはいま、新たな発展の時代へと歩みを進めています。その目標を現実のものとするため、政府は短期間のうちに4つの戦略的決議、すなわち決議57号、59号、66号、68号を相次いで打ち出しました。これらは、思考と行動の両面での抜本的な転換を伴う、いわば「4本の柱」として、ベトナムの飛躍を支える基盤となっています。
2025年5月18日に開かれた決議66号と68号を貫徹・展開する全国会議(写真:Văn Hiếu/VOV) |
それぞれの決議は、重点分野が明確に定められています。決議57号は科学技術・イノベーション・デジタル転換の推進、決議59号は能動的かつ積極的な国際統合の促進、決議66号は現代的かつ透明な法制度の整備、そして決議68号は、民間経済部門を経済発展の中核的な原動力とすることを掲げています。
思考の大転換が始まる
4つの決議に共通するのは、強い改革志向と新たな発展思考です。アメリカン大学のフルブライト・プログラムに参加するグエン・ホン・ハイ博士は、「この転換はベトナムにとって必要なステップであり、国の緊急的な発展課題や、政治・技術・経済における世界的な変動への対応として現れたものだ」と指摘し、次のように語りました。
(テープ)
「今回の思考転換は、非常に力強く、断固としたものでした。まず、これはベトナム自身の発展ニーズから生まれたものです。ある一定の段階まで発展した今、さらに上を目指すには変革が不可欠で、そうでなければ停滞し、後れを取ることになるとトー・ラム書記長も繰り返し述べています。加えて、地域・国際社会の政治・外交・科学技術分野での変化がその背景にあります」
実際、4つの決議は、現実に即した長期的なビジョンのもとに構築されています。中でも注目を集めているのが決議68号です。専門家の間では、これがドイモイ刷新政策以降、民間経済における最も踏み込んだ改革宣言だと高く評価されています。
政治局は今回初めて、「偏見の払拭」を明記し、企業家を「経済戦線の戦士」と位置づけるとともに、所有権や発展機会へのアクセスにおける公平な競争環境の確立を打ち出しました。従来のように一部の事業を民間に委託するだけでなく、決議68号では制度面の障壁を取り除き、中小企業から大企業まであらゆる経済主体が平等に成長できるよう支援する体制整備が目指されています。
さらに、経済活動と刑事司法を明確に切り分け、「経済関係の非犯罪化」を掲げた点も、企業界から高く評価されています。企業の代表は次のように語りました。
(テープ)
「決議68号は、製造業界に新たな希望と大きな期待をもたらしました。これによりボトルネックが解消され、企業がさらに前進できると確信しています」
「決議68号により、投資活動の拡大に向け、企業はより自信を持って動き出せるようになり、新たなアイデアやプロジェクトも積極的に実行に移せるようになります」
「長年抱えてきた課題を根本から解決し、思考や手法全体を刷新する決議68号は、まさに時宜を得た改革です」
さらに決議57号では、国内企業のみならず、国外在留ベトナム人知識人や民間資本の積極的な参画を促しています。ハイ博士は次のように語りました。
(テープ)
「国外在留ベトナム人の知的資産と経済力が、国内の力と結びつけば、国と民族の発展に大きな推進力が生まれるでしょう。その相乗効果によって、強く豊かなベトナムへの道筋はより短く、より持続可能になるはずです」
渇望を行動へと変える
5月18日に開かれた決議66号と68号を貫徹・展開する全国会議において、トー・ラム党書記長は、「2025年は極めて重要な節目であり、先進国入りの目標まで残された時間は20年に満たない。今改革しなければ、ベトナムはグローバル競争の中で『黄金の機会』を逃すことになる」と強調しました。
トー・ラム党書記長(写真:Văn Hiếu/VOV) |
トー・ラム書記長は、「ベトナムはすでに明確な思考とビジョンを持っている。今必要なのは、断固たる行動である」と指摘しました。今回の4つの決議は、まさにその実行に向けた出発点に他なりません。
これらの決議は、それぞれが独立した政策方針である一方で、相互に連携し合う関係にあります。たとえば、透明性のある制度(決議66号)が整っていなければ、民間経済の発展(決議68号)は難しくなります。また、創造的な環境(決議57号)がなければ、国際社会との実効的な統合(決議59号)も期待できないでしょう。
このような4つの戦略的決議は、迅速かつ持続可能な発展を可能にする強固な土台であり、ベトナムが新たな時代において、豊かで力強い国家となるための道しるべとなるものです。