ハノイ36通りは、ずっと前から、首都圏の歴史、文化のユニークなシンボルとなっています。これらの通りの名前は、「ハン(Hang)」という文字で始まっています。「ハン」は、店舗、お店と言う意味で、その通りで製造・販売されている商品名がそのあとに続くのが一般的です。例えば、銀を製造・販売している通りは「ハンバック(Hang Bac)」通り、つまり銀通りと呼ばれています。
しかし、ホアンキエム湖から西方へ600m離れた所にある「ハンバイ(Hang Vai)」通りはその例外です。この通りの最初の文字にも、「ハン」と付けられていますが、次の文字「バイ」は「布」という意味ですが、竹の製品ばかりを販売している場所であるからです。
全長およそ240mに及ぶこと通りの両側には、竹製の竿や、梯子などが壁に立てかけており、「ハンバイ」通りの独自性を打ち出しています。街中にある「竹の林」の姿は、この通りを初めて来る人に強い印象を与えるでしょう。
「ハンバイ」通りは、首都ハノイの古き良き美しさを保つ街の一つです。19世紀末頃、この場所では、布をはじめ、あらゆる日常製品が販売されたため、「ハンバイ」通りと名付けらました。
フランス植民地時代に、フランス人はこの通りを「rue des Etoffes」というフランス語で称していました。ここに住むフランス人は、この通りでの商品をより豊富で多様なものにしました。1945年からは、この通りの名称は、ベトナム語の「ハンバイ」通りと再び呼ばれるようになりました。
1990年代から、現地に住む多くの世帯は、竹製品の販売へと転換したため、以前、販売されていた布などの商品は徐々になくなりました。以来、建築、室内装飾、日常生活などに用いられる様々な竹製品が現場の店で設計、加工されます。現在、およそ10カ所の店が竹製品を営んでいます。
竹製品店舗のオーナーの話をお聴きください。
(テープ)
「我が家は、各種の竹製品の製造に従事しています。私の父、おじさん、おばさんもこの仕事をしています。我が家の店は、お爺さんの時代から引き継がれたものです」
(テープ)
「我が家は、主に、竹製の室内装飾品、竿、梯子などを販売しています。竹製の美術工芸品は外国人観光客に好まれています」
一方、グエン・チョン・ドウックさん一家も、長年にわたり、建築用竹製品の専門店を営む家庭の一つです。
(テープ)
「私は、竹製の壁、箪笥、棚、椅子、机を製造しています。毎朝7時ごろ、店を開けます。竹製品の種類は日々豊富になっていますが、郊外に住む人々に好まれています。既製品もあればオーダーメイドもあります」
賑やかな商店街で、熟練した職人たちが仕事に夢中していて、ユニークな手工芸品を作っています。顧客であるグエン・クアン・タオさんは、職人の手作業にじっと見ながら、次のように語っています。
(テープ)
「軽いアイテムで、ノスタルジックでアーティスティックな製品が好きなので、ハンバイ通りの店に来てみました。ここに座って、職人の操作を眺めながら、いくつかのコツも身に付けましたよ。また、この旧市街の様子を眺めることもできて、本当に素晴らしいです」
ハノイ旧市街の中心地にある竹製品販売店街の様子は、歳月が経っても保たれています。現在も若い世代は引き続き、先祖代々の手工業を継承、維持、発展させています。