エデ族の健康祈願儀式 |
エデ族の習慣では、50歳以上の家族の長老に対して、子孫が健康を祈る儀式を行い、世話への感謝を示します。ダクラク省クムガル県エアタル村ムラン集落のイ・レ・ニエさんの家では、早朝から準備に忙しい様子が見られます。葉を切る人、酒を用意する人、料理を作る人、鶏や豚を屠殺する人、供物を準備する人など、それぞれが役割を担っています。
家主のイ・レ・ニエさんは、奥さんの叔父であるイ・ハイ・クブオル氏のために健康祈願儀式を準備していると説明しました。
(テープ)
「叔父の健康を祈る儀式を行います。叔父の誕生日に合わせて、健康と平安を願う儀式を開催する予定です。前日には、豚や鶏、お酒、銅鑼など、必要なものをすべて準備します。遠方の親戚や近隣の村人たちにも声をかけ、家族みんなで喜びを分かち合い、叔父を祝福します」
供物が整うと、銅の香炉にろうそく、赤く燃える炭、酒の入った銅の杯、ビンロウジュとタバコ、ご飯、焼いた鶏が並べられます。家の中央には8つの酒甕が置かれ、そのうち1つは先祖に、5つはイ・ハイ氏の健康を祈るため、残りは客人のためのものです。
銅鑼の音が鳴り響き、儀式の開始を告げます。祈願を受ける人は高床式の家の東側の壁際に座り、向かい側には祈祷師、親族、招待客が座ります。
健康祈願儀式は3つの祈りから成り、先祖を招く祈り、祈願を受ける人の健康を祈る祈り、親族からの祝福を受け入れる感謝の祈りが行われます。
82歳のイ・ハイ氏は、子孫が健康祈願儀式を行ってくれたことを非常に喜んでいます。これが4回目の儀式だと語りました。
(テープ)
「今日は本当に喜ばしい日です。子や孫、親戚たちが再び健康祈願の儀式を開いてくれたことに、心から感謝しています。この儀式は、私たちの先祖から受け継がれてきた大切な伝統を思い出させてくれます。年を取って体力が衰えてきた今、この儀式は子孫からの祝福の言葉となり、私により多くの健康と幸せをもたらしてくれるでしょう。家族や子孫、そして村中の人々が一緒に喜んでくれていることに、とても感謝しています」
儀式後、イ・ハイ氏と祈祷師は共に食事をし、酒を飲みます。祈祷師はイ・ハイ氏に酒を渡し、銅の腕輪を贈る儀式を行い、参加者に祝福を与えます。その後、子孫や親族も順番に銅の腕輪をイ・ハイ氏に贈ります。エデ族にとって、銅の腕輪は生活と健康の持続と発展を象徴します。ムラン集落の祈祷師イ・チョチ・ニエさんは次のように語りました。
(テープ)
「儀式を受ける人の家族のうち、子孫や親戚は皆、その人に銅の腕輪やネックレスを贈り、祝福の気持ちを表します。これはともに喜びをわかちあうだけでなく、家族や一族の中での絆を確認し合う機会でもあります。お互いの顔を覚え、親密な関係を築き、何かあった時には支え合うという意味が込められているのです。銅の腕輪をつけることも、その親密な関係を象徴する表現なのです」
現地行政府は、エデ族の健康祈願儀式を重要な伝統文化として大切に守る方針です。クムガル県人民委員会のイ・ウェン・ホ・ウィン副委員長は次のように語りました。
(テープ)
「今日の健康祈願には、いくつかの目的があります。まず、エデ族に伝わる特色ある伝統文化である親族のための健康祈願を復活させることです。次に、若い世代にこの儀式の意味を教え、将来的にこの習慣を広めていくことです。さらに、この美しい文化的習慣を広く知ってもらうことで、クムガル県の地域観光の発展にも貢献することを目指しています。」
エデ族にとって、この儀式は人生の重要な節目を記念するものであり、特に男性にとって重要です。この儀式を通じて、銅鑼文化や酒文化といったエデ族特有の文化が表現され、同時に家族や氏族の団結が示されるのです。