シムバン村は年間を通して涼しい気候に恵まれています。夏になっても平均気温は15度~23度程度です。険しい地形、多くの曲がった道路、聳え立つ山、それに渓流があることで、この地方には平穏で手付かずの自然が残っています。40年前にこの地は、不毛な土地でした。
シムバン村の田畑
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シムバン村人民委員会のザン・ア・ネン委員長によりますと、現地に住む少数民族モン族の人々は、棚田で稲作を行うという農法を導入しなかったため、食糧不足の状態にあり、困難な生活を送っていました。当時は灌漑用水のシステムがまだ整備されていない上、気候が厳しく、住民の農作業に関する知見も制限されていたため、棚田で稲作を行うことは無理であったということです。
しかし、国家の支援政策のお陰で、現地住民は、山の斜面を開墾して棚田を作るようになりました。ネン委員長は次のように語りました。
(テープ)
「40年前は、住民たちは、主に畑仕事をしており、稲の収穫量がとても少なかったです。いつも食糧不足の状態にありました。ご飯の代わりに、根菜などを食べなければなりませんでした。こうした困難な状態を解消するために、村の行政当局は、それぞれの農家の家に行って、灌漑用水路の建設と棚田作りを働きかけました」
この数年間で、シムバン村における棚田の面積は著しく増加しています。現在、村全体の棚田の面積は320ヘクタールに上っています。米の収穫量は1ヘクタールあたり平均6トンに達しており、20年前と比べ倍増しています。村人は次のように語っています。
(テープ)
「かつて、我が家は陸稲栽培をしており、米の収穫量はとても少なかったんです。いつも食糧不足の状態にありました。お陰さまで、水稲をしてから、ご飯が十分に食べられるようになっただけでなく、米を売ったお金で子どもの衣服、文房具を買うことが出来るようになりました。生活は前より楽になっていますよ」
稲の収穫期に、シムバン村の棚田を訪れると、黄色い棚田の美しさを満喫することが出来ます。首都ハノイからの来客は次のような感想を述べています。
(テープ)
「初めてシムバン村に来ました。現地の聳え立つ山や美しい棚田は本当に凄かったです。チャンスがあれば、親戚を誘ってここに来るつもりですよ」
シムバン村の高齢者であるザン・ア・チエオさんは、現地の日々の変化を嬉しく思いながら、「以前、住民たちは、畑仕事ばかりをして、生活は大変だった。現在、水稲栽培の傍ら、観光活動も行っているので、生活は改善されるようになった」と明らかにし、次のように語りました。
(テープ)
「この山間部の住民たちの観光活動のお陰で、村の道路が整備されました。どの家庭にも冷蔵庫、農業機械があります」
現在、シムバン村にある棚田は現地の有力な観光商品になるつつあります。これらの棚田は、住民に円満な生活をもたらすだけでなく、観光客をも魅了しています。