「フランス建築見学徒歩ツアー」は新型コロナウイルス感染症と共存することを前提とした新常態(ニューノーマル)に移行したハノイ市で実施される最初の観光ツアーとなっています。これはダウンロードしたアプリで、ベトナム語、英語、韓国語の音声ガイドを聴きながら博物館をまわる歩くツアーです。展示ブースのQRコードをスキャンすることで、音声ガイドの説明を聴くことが出来ます。このツアーは1時間半に行われ、ハノイの中心地を歩きます。
(写真:TTXVN) |
このツアーの特徴は国立歴史博物館、オペラハウス、迎賓館という3つの観光スポットを結ぶことです。これを通じて、参加者は20世紀初頭におけるベトナム文化と西側諸国の文化の交流を示す建築様式を理解できます。国立歴史博物館のグエン・テイ・トゥ・ホアン副館長は次のように語りました。
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「このツアーは建築だけでなく、歴史面での価値を結ぶものです。国立歴史博物館、オペラハウス、迎賓館、ベトナム国家銀行の本部などはハノイにあるフランス風の代表的な建築物で、どこでも見られるものではありません」
「フランス建築見学徒歩ツアー」は国立歴史博物館から始まります。この博物館は1926年に建設されたルイ・フィノー(Louis Finot)博物館を受け継ぐ形で誕生しました。この博物館にはおよそ1万点の品々と資料が展示されています。ベトナム国立歴史博物館は今から30万~40万年前の前史におけるベトナム社会の成形と発展、建国時代(今から4000年前)、封建時代、ベトナムの民族独立を勝ち取る闘争、1945年の8月革命の他、抗米救国闘争、ドイモイ事業なども紹介しています。ベトナム国立歴史博物館は展示されている品々の他、ドンソン文化のコレクション、ベトナムの古代磁器のコレクション、チャム族の石彫刻コレクションなど多くの貴重な資料や品々を保存しています。
その後、観衆はオペラハウスと迎賓館を見学します。ここで、観衆はこの2つの建築物の建築と歴史的、芸術的価値を理解できるようになります。迎賓館は元々、フランス植民地主義者の支配が置かれた時代に、北部(トンキン)理事長官官邸として、建築家オーギュスト・アンリ・ヴィルデュ(Auguste Henri Vildieu)によって設計され、1895年から1911年に建設されました。北部の理事長官とは、北部の地方行政機関の長のことです。切り立った屋根が特徴のマンサード建築ですが、玄関のポーチなどに工夫を凝らした様子がうかがえます。1945年の8月革命が成功してからフランス軍との戦いが始まった1946年末まで、ホーチミン主席とベトナム民主共和国の臨時政府はここで仕事をしていました。この期間に、この建物の名が北部府に改名されました。1954年のインドシナ戦争終結後、この建物は改修され、政府の迎賓館とになりました。
(写真:TTXVN) |
一方、その付近にはハノイオペラハウスがあります。日本人の建築家はこれを東南アジアにおける最も美しい建築物と評価しています。オペラハウスは1901年着工、1911年完成し、パリのオペラ座を模してできました。パリのオペラ座そのものは、奇しくもハノイの植民地化が始った1874年に完成しました。このオペラハウスの敷地内の面積は2600平方メートルで、正面には広場があり、古代ギリシャの建築様式を取り入れて建造されました。
「フランス建築見学徒歩ツアー」が開始された直後、ハノイ市民の多くの人々の関心を集めています。ハノイ市民の一人タイ・ゴック・トェットさんは次のように語りました。
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「ハノイが社会的距離措置を緩和させるので、子供たちはあそこに行くことができて、嬉しいです。これはハノイでの週末の見所としてぜひお勧めします」
一方、ハノイの生徒の一人チャン・バオ・ラムくんは次のように語りました。
(テープ)
「私たちはここでの建築物だけでなく、ガジュマルの木や木綿の木について紹介されましたが大好きです」
新型コロナ対策のため、参加者は10人以下に制限され、ソーシャルディスタンスを守りながらツアーを実施しています。ハノイツーリズムのフン・クアン・タン社長は次のように語りました。
(テープ)
「家族連れや生徒、学生がこのツアーが大好きです。新型コロナが完全に収束していない背景の中で、私たちは参加者を小グループに分けて、安全な距離を守りながら、見学を行います。このツアーに参加する人々はハノイの建築の歴史の他、文化をも理解できます」
「フランス建築見学徒歩ツアー」はハノイの観光活動を多様化させるのみならず、ハノイの観光振興活動にも寄与すると言えることでしょう。