ハノイ中心部にあるホアンキエム湖周辺の歩行者天国 |
現在、ハノイには124もの創造的空間があり、これは国内最多を誇ります。これらの空間は、デザイン、視覚芸術、建築、音楽、工芸、出版、写真、映画など、多岐にわたる分野で活動しています。こうした多様な創造的空間の存在は、ハノイの文化的活力を示すとともに、創造産業の発展を促進しています。
特に注目すべきは、歩行者天国の拡大です。2019年には2箇所だった歩行者天国が、現在では6箇所に増加しました。ホアンキエム湖周辺やチン・コン・ソン通りなどが歩行者天国となり、市民や観光客の憩いの場となっています。ハノイ郊外のソンテイ町に住むグエン・ティ・トゥイさんは次のように語りました。
(テープ)
「歩行者天国は本当に素晴らしいですね。老若男女問わず、みんなが集まって交流できる場所ができました。普段の生活では忘れがちな、自然や人とのふれあいを楽しむ機会にもなっています。ソンテイ町だけでなく、もっと多くの地域でこういった取り組みが広がっていけばいいなと思います」
(ハノイで開催された国際モンスーン音楽祭の現場の音)
ハノイでは、創造性を育む様々なイベントも開催されています。「ハノイクリエイティブデザインフェスティバル」や「ベトナムデザインウィーク」などが定期的に行われ、多くのクリエイターや市民が参加しています。これらのイベントでは、専門家による討論会、展示会、アートパフォーマンスなど、多彩なプログラムが用意され、ハノイの文化芸術シーンに新たな刺激を与えています。芸術家グエン・ホアン・クオク・アインさんの話です。
(テープ)
「ハノイ、特にホアンキエム区で生まれ育った者として、自分の作品や文化プロジェクトを通じて地元に貢献できるのは、本当に幸せなことです。単にハノイ市だけでなく、周辺地域にも良い影響を与えられると思うと、創作意欲がさらに湧いてきます」
クォック・チュン氏 |
ハノイの創造的空間の多くは国際的な注目も集まっており、有名な国際的フェスティバルの開催場所となっています。世界各国の多くのアーチストを誘致している「国際モンスーン音楽祭」の総合ディレクター、クォック・チュン氏は次のように語りました。
(テープ)
「昨年から、ホアンキエム区で新しい取り組みを始めました。特に若いアーティストたちの作品を、地元や海外のイベント主催者に紹介する機会を設けています。同時に、区内の文化スポットや歴史的な場所を観光客や来場者に案内する活動も行っています。これにより、アーティストの支援と地域の魅力発信を同時に実現できています」
ハノイ市は、こうした創造的活動を支援するため、様々な政策を打ち出しています。国会文化教育委員会常任委員のブイ・ホアイ・ソン教授は次のように語りました。
(テープ)
「創造性というのは、特定の人だけのものではありません。むしろ、社会全体に広げていくことが大切だと考えています。ハノイは創造都市として認定されていますが、それは単なる称号ではありません。この創造的な雰囲気が新しいアイデアや場所、そして人材を生み出しているのです。こうした要素が相互に作用し合い、ハノイの独自性を維持しつつ、さらなる発展の原動力になっていくと確信しています」
文化と創造性を都市発展の中心に据えるハノイの取り組みは、徐々に実を結びつつあります。伝統と革新が融合した独自の文化的アイデンティティを形成し、ベトナム全体の文化産業をけん引する存在となっています。今後も、文明的で現代的な文化首都として、ハノイの魅力は一層高まっていくことでしょう。