コム族の女性たち

コム族の新米祭りは、村人に豊作と豊かで幸せな生活を与えてくれた神様と先祖に感謝の気持ちを示すためのものです。新米祭りの前に、男性たちは鳥、リス、ネズミ、川の魚を狩るために森に行くのに対し、女性たちはお供え物の準備としておこわをつくるほか、野菜、塊茎、果物を集めます。コム族は、新米祭りのお供え物が充実していればいるほど、村と家族の豊かさと繁栄を表すと信じています。これは、村人が伝統的な芸術活動や民間遊戯、文化交流を企画し、コム族の伝統文化に対する誇りを喚起する機会でもあります。

（現場の音）

新米祭りの幕開けは「稲の魂を呼ぶ」としても知られる礼拝の儀式です。儀式で祈祷師は伝統的な衣装を着て、自らお供え物を祭壇に置きます。お供え物の中で、果物は祭壇の周りに並べられ、肉やおこわなどは中央に置かれます。これは天と地、神様、そして亡くなった人たちへの敬意を示すものであると考えられているからです。その後、祈祷師はお酒を2杯を並べて注ぎ、故人を招き、儀式用の盆の上に蜜蝋のろうそくに火を灯します。そして、祈祷師は、村の家々が食糧不足にならず、毎年の豊作や村人が無病息災を祈りながら、神様にお供え物を楽しんでもらえるよう招待します。

民間遊戯「棒押し」

「稲の魂を呼ぶ」という儀式の後、村人は、棒押しや綱引き、目隠しをしながら銅鑼を演奏するという伝統的な民間遊戯を楽します。新米祭りはコム族はもちろん、ほかの民族の人々も魅了しています。モン族のジー・ティ・カさんの話です。

（テープ）

「それぞれの民族は異なる習慣があります。私たちモン族の習慣は、コム族の習慣と異なり、ここでコム族の習慣を体験できるのはうれしくと思います。コム族の新米祭りからたくさんの新しいことを学べたので、とても興奮しています」

北西部ライチャウ省ナムヌン県ナムマイン村に暮らす祈祷師ラー・バン・ソさんによりますと、新米祭りは収穫期の直後に3日間で開催されるのが一般的です。この祭りはコム族にとって重要な行事であるため、経済状況が厳しいにもかかわらず、村人は祭りの準備を万全に整えます。ソさんの話です。

（テープ）

「新米祭りはコム族のアイデンティティであるため、毎年祭りは行わなければなりません。村人の健康や、豊作、商売繁盛のためにも祭りで決められた儀式を行わなければなりません。昔から伝わる祭りなので、必ず続けなければなりません」

近年、地元の行政府の支援により、コム族の村の多くは昔ながらの新米祭りを復活することができました。新米祭りは観光客をひきつけるものとして地元の経済発展と住民の生活改善に役立っていると評価されています。