雨乞い祭りの儀式を執り行っている祈祷師

ロロ族は、日常のあらゆる出来事が超自然的な存在、つまり神々によって支配されていると信じています。その神々の一つが雨神です。したがって、ロロ族は今日でも、雨乞い祭りをはじめ、多くの伝統的な祭りや行事を守り続けています。心からの願いは、豊かな雨に恵まれ、作物が実り、人々が健康で、家畜が繁殖し、豊かな生活ができることです。バオラック県のチ・ヴァン・ソンさんはこう話します。

（テープ）

「雨乞い祭りには、神様に豊作をお願いする意味があります。この祭りは旧暦3月に行われ、農作業に適した天気を願うのです。」

雨乞い祭りは1日のみ行われますが、準備には1ヶ月前から着手します。村人たちは吉日を決め、評判の良い祈祷師を見つけ、衣装やお供え物を用意します。各家庭が費用を分担し、祈祷師の準備を手伝います。儀式は昔から村人が祭祀の場所として選んだ森の中で執り行われます。ロロ族は森が神の住処であり、村に水を供給する場所だと考えているのです。

雨乞い祭りは、儀式と祝祭の2部構成となっています。祈祷師が祭主を務め、すべての供物奉納の儀式を執り行います。当日、村人は祈祷師の家から出発し、聖なる森の儀式場所へと向かいます。先頭に水牛が進み、次に4人が大皿に載せた供物を肩に担ぎ、生け贄の犬、鶏、豚なども連れられます。その後ろを祈祷師と2人のアシスタント、そして村人たちが続きます。祈祷師が祈願を終えると、祭壇の四隅に祭文を焼き、四方に酒を注いで天地に感謝を捧げます。欠かせない供物は水牛と犬で、他に鶏、五色のおこわ、トウモロコシ酒、祭文（さいもん）などがあります。

水牛を儀式の開催場所へ連れている村人

村人は生け贄を祭壇に縛りつけ、神々に奉納の許可を求めます。それから若者たちが屠殺し、再び供えられます。カオバン省バオラム県の祈祷師ノン・ヴァン・タンさんは次のように語ります。

（テープ）

「供物は水牛1頭、犬1匹、鶏3羽です。犬は悪霊を追い払うためです。2羽の鶏を供え、1羽の雛鶏は埋めます。この雛鶏も悪霊を追い払うためです。ロロ族は毎年雨乞い祭りを行い、農作業に適した天気と豊作を願っています。この祭りを行えば、村人が一年を幸せに過ごし、健康を損なわず、豊作になると信じているのです。費用はすべて村で負担します。」

祈祷師の供物奉納が終われば、各世帯から1人が祈祷師とともに供物を味わいます。この際は黙食することが戒められています。全員が食事を終えると、祈祷師が呪文を唱え、事前に用意された村の宴会場に移動します。儀式が終われば祝祭に移り、村人たちが祭壇を囲んで食べ、酒を飲み、歌い踊ります。バオラム県のノン・ティ・リエンさんは次のように話しています。

（テープ）

「全村民が文化会館に集まり、来賓も含めて皆で飲食を共にします。こうした供物奉納は雨を願うためなのです。雨に恵まれれば、田植えや稲作ができるのです。」

最も重要な儀式は雛鶏を埋めるものです。これが上手くいかないと、儀式全体が無駄になると考えられています。祈祷師が3日後にその穴を検査します。穴が崩れていなければ、神々がこの儀式を見守ってくれたと判断されます。村は神々の加護を受け、豊作になると信じられています。さもなければ、儀式を再び行う必要があります。 

ロロ族の雨乞い祭りは、独自の特色ある儀式であり、代々受け継がれてきました。ロロ族にとって、この祭りは待ち望まれた一日であり、出会い、交流し、コミュニティの絆を深める大切な機会なのです。