既にお伝えしましたように、去る6月30日、ニューヨークでベトナムとドイツの提唱により、UNCLOS=1982年国連海洋法条約の友人グループの発足式が行われ、国連事務総長法律顧問のミゲル・デ・セルパ・ソアレス部長をはじめ、加盟96か国の代表が参加しました。
1982年のUNCLOSへ平和的貢献を公約する
1982年のUNCLOSの友人グループの発足という構想は、国連加盟諸国から高く評価されました。これは、1982年の国連海洋法条約の役割と価値を高めると共に、1982年のUNCLOSの遵守を推進し、同条約に対する試練に対応するための連携メカニズムを構築すると期待されるからです。多くの国の代表は、「1982年の国連海洋法条約は、全面的な文献であり、海と大洋における全ての活動を調整し、海洋分野における国際的協力枠組みでもあり、大洋の管理や、海上の法的秩序の維持、あらゆる紛争の平和的解決に貢献している」と強調しました。
1982年のUNCLOSの友人グループは、国連安全保障理事会のような法的拘束力のある決定を下す機関ではありませんが、このグループに参加する各国の代表が海洋や大洋に関わる問題を取り上げて、互いに討論し合うことが出来ます。どの国にとっても、海域を巡るあらゆる紛争が発生したら、最も効果的な解決策は国際法と1982年の国連海洋法条約に基づいたことです。これは、国際法と国際秩序の重要な一部であり、海上での権利と責任を行使するための法的根拠となっています。
大国だけでなく、多くの小さな国さえも1982年のUNCLOSの友人グループに加盟しています。というのは、紛争が発生した場合、彼らは、強者の法律ではなく、世界に認められた国際法に頼らなければならないと信じているからです。
ベトナム東部海域問題の解決に向けた国際法の役割
2016年にPCAがベトナム東部海域問題に関する判決を下した( cand.com.vn) |
この間、ベトナム東部海域(いわゆる南シナ海)を巡る問題は国際共同体からの関心を受けています。去る7月1日、ロシア国際問題評議会のホームページは、ロシア国立研究大学経済高等学院のアレクサンダー・コロレフ博士とイリーナ・ストレルニコワ博士が執筆した「南シナ海に関する仲裁廷の判決の5年:地政学と国際法が交差する場所」をタイトルにした原稿を掲載しました。その中で、オランダ・ハーグの常設仲裁裁判所(PCA)が2016年7月に下した判決は、ベトナム東部海域を巡る紛争の歴史の中で重要な節目となり、また、国際法はこの紛争解決に向けた最高の役割を果たしていると評価されました。著者らは、海域紛争の解決における国際法の役割を高く評価すると共に、1982年の国連海洋条約が全ての締結国にとって最高の法的拘束力を持つと強調しました。
ロシアの専門家によりますと、1982年のUNCLOSは、中国がベトナム東部海域での紛争解決のために行使していた歴史的権利、または主権的権利、あるいは管轄権に代わる唯一の法的根拠となっています。
一方、これに先立ち行われた南シナ海問題に関するオンラインセミナーで、インドネシアの専門家らは、COC=海上行動規範の作成の重要性を強調しました。COCがいまだ作成されないうちに、当事者は、1982年の国連海洋法条約や、DOC=海上行動宣言などの国際法の枠組みを遵守する必要があるとされています。