PCA撮影 |
ベトナム東部海域(いわゆる南シナ海)に対する中国の領有権主張や人工島の建設などが国際法に違反するとして、フィリピンが中国を相手に提訴した裁判で、2016年7月12日に、オランダ・ハーグのPCA=常設仲裁裁判所は、中国の主張に法的根拠がないという判決を下しました。あの判決から5年経った今なお、ベトナム東部海域の状況は依然として複雑に推移しています。しかし、この判決は、ベトナム東部海域に関するあらゆる紛争を平和的に解決するための重要な節目と有益な基礎であり、海上秩序を確立するための法的基盤になったということです。
PCAの判決に基づき、いわゆる「九段線」内の海域で資源に対する歴史的権利を持つという中国の主張は、いかなる法的根拠もないと認定されました。
世論の特別な関心を集める判決
5年前の常設仲裁裁判所の判決は、ベトナム東部海域を巡り、中国と領有権を争う当事国だけでなく、域外の国々からの大きな関心を受けました。各国の指導者の発言や、学者、歴史研究者の数百件の分析と論評などは、PCAの判決が海上の領有権紛争の抑制と解決に貢献する法的基礎であると高く評価しました。
国際世論はまた、「PCAは、ベトナム東部海域での紛争解決に向けた国際法の意義を重視しており、1982年国連海洋法条約の枠組みの中で当事国の義務を示すと同時に、国際法に違反して、地域での安全を不安定にした一方的な行動を非難した」と強調しました。
PCAの判決はこの海域での中国の行動に対するより強い反応を作り出してきました。ベトナム東部海域を巡る領有権の紛争と1982年国連海洋法条約の遵守は、二国間、多国間による複数のフォーラムや会議の主要議題となりました。ベトナム東部海域の問題は、地域内外の国々からの関心を集めています。2020年に、多くの国は国連に宛てた対中抗議文書を送り、その中で、ベトナム東部海域の領有権を巡ってフィリピンが中国を提訴した2016年の裁判に対する常設仲裁裁判所の判決に言及しており、この海域の領有権に対する中国の不法な要求に反対しました。
2021年6月に、国連加盟96か国の参加による1982年国連海洋法条約の友人グループが発足されたことや、多くの国がベトナム東部海域における「航行の自由」に参加していることは、海域の領有権への中国の不法な要求に反対する見解を示しました。
専門家によりますと、この事実は2016年7月12日の判決の影響を受けています。PCAの判決は、重要な節目となっており、国際法に則って、ベトナム東部海域を巡る領有権の紛争を平和措置で解決する必要性を認めています。
ベトナム東部海域上の私的利益を追求する余地がない
ベトナム東部海域は、周辺各国だけでなく、東アジア地域と世界各国にとっても重要な役割を持っており、地政学的にも重要な位置にあります。というのは、ベトナム東部海域は、太平洋とインド洋、ヨーロッパとアジア、そして中東とアジアを結ぶ幹線海路に位置しているからです。また、この海域は、インド洋と太平洋を結び付ける海路の一部であり、世界の海事貿易における重要な役割を果たしているのです。
そこで、ベトナム東部海域での平和、安定、安全の維持は、海域の領有権を主張する全ての当事国と域外の関係国の任務となっています。この海域を巡るあらゆる紛争は国際法に則って、平和的に解決されるべきです。常設仲裁裁判所が2016年7月12日に下した判決、及び、1982年国連海洋法条約は遵守されるべきです。