こうした事情を踏まえ、ベトナム企業は科学技術の適用や移転、具体的な支援政策・メカニズムの活用により、国内市場はもちろん、地域と世界市場でも競争力を高めています。
科学技術の適用・移転やイノベーションは企業の労働生産性、製品の品質、および競争力の向上に重要な役割を果たしています。これまで、多くの企業は科学技術の適用や革新に投資を強化し、競争力の向上を目指しています。
持続可能な生産・サービスエコシステム構築
60年あまりの建設発展の道のりを経たランドン電球魔法瓶株式会社は何回も技術革新を行い、何か所もの研究センターを設立し、DX=デジタルトランスフォーメーション戦略を立案しました。同社のグエン・ドアン・ケット副社長によりますと、同社はスマート生産やロボット技術を開発し、機械学習技術やAI=人工知能、産業用モノのインターネットなどを適用し、マスカスタマイゼーション、つまり顧客個別のニーズに対応し、カスタマイズされた製品・サービスを提供しています。
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「私たちはグリーン生産を志向した、スマートで柔軟な生産プラットフォームを構築し、第4次産業革命の成果を生産に適用しています。また、外国の先進的なモデルを参考にして、長年にわたり、工業生産を行っている自社の独自のモデルを設立しました。さらに、機械・設備を自動化し、同じプラットフォームで、機械・設備を結び合わせています」
一方、1995年に設立されたNafoods Groupは果物と野菜の栽培に近代的な技術を適用し、栽培地域のデジタル化で他の企業に先駆して、厳しい輸出市場の基準を満たしています。現在、同社のパッションフルーツが70の国と地域に輸出されており、収益が数億ドルにのぼっています。Nafoods Groupの代表ファン・バン・スアン氏は次のように語りました。
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「原料栽培地やリンクチェーンから原料を買い入れています。この原料は厳しい技術基準に従って、ハイテクの適用で栽培されたので、質が高く、トレーサビリティができるのです」
他方、ミンフー水産グループはMPBiO 方式による海老の養殖を行っています。MPBiO 方式とは、藻類と光合成細菌を利用して CO2 を吸収しO2 を放出し、海老の生育に寄与するということです。これにより、化学薬品のコストは95%、電気代が50%から70%、餌代が30%減少する一方、生産量は年平均7万トンを超えています。同社の製品はアメリカや日本、韓国、欧州諸国に輸出されています。
ベトナムブランド確立と世界市場への進出
経済専門家によりますと、産業界は第 4 次産業革命から得られた最大のチャンスは、より高いレベルでテクノロジーにアクセスし、自動化を強化するということです。生産への先進技術の適用により、ベトナム企業は国内市場だけでなく、外国市場でもブランドを確立しています。例をあげると、大手乳製品製造会社ビナミルクは60の国と地域に進出しており、ベトナム大手のコーヒーメーカー「チュングエンコーヒー」は世界市場へのベトナムコーヒーの出荷に取り組み、ベトナム産高品質米種「ST25」が国際コメ会議の品評会で最優秀賞を獲得しました。
一方、ベトナム軍隊工業通信グループ「ベトテル」やIT企業「FPT」、情報技術および通信企業CMCなど、ベトナムの一連のテクノロジー企業は海外市場で十億ドルの売上高を得ました。日本市場に進出したソフトウェア開発株式会社「カオピーズ・ホールディングスのレ・バン・ホアン社長は次のように語りました。
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「ベトナムは情報技術分野で遅れていますが、ベトナムの技術者の才能は外国の技術者に劣っていません。私たちは世界各国の大手企業の製品と同等の高品質な製品を製造することができると思います。ベトナムは国家発展や世界情報技術地図における地位確立のため、大きなチャンスに恵まれています」
輸出の飛躍的な成長により、ベトナムは世界貿易額ランキングで、上位20か国の中に入っています。また、国家ブランドの構築と開発に力を入れ、2020年から2022年期に、「世界で最も価値が急成長した国家ブランド」に認定されました。
第4次産業革命が進んでいる中で、ベトナムの産業界は自らの強みを見極めた上で、イノベーションと科学技術の適用を進め、製品の質的向上に取り組んでいます。また、政府の支援を受け、ベトナムの産業界はグローバル・バリュー・チェーンへの参入を強化しています。