両国関係の順調な発展
ブータン王室による国賓訪問は、2012年に両国が外交関係を樹立して以来、初めてとなります。今回の訪問は、両国の協力関係を経済や観光をはじめ幅広い分野で新たな段階に押し上げるものとみられています。
ベトナムとブータンは、美しい自然や仏教文化、平和を愛し質素な暮らしを重んじる国民など、多くの共通点を持っています。関係が着実に進展する中、両国はバランスの取れた持続可能な発展を共通の目標としています。
両国は2012年に外交関係を樹立して以降、ベトナムはブータンを「グリーン成長」や幸福度を重視する国として評価してきました。一方、ブータンはベトナムを優先的な協力相手と位置づけています。
両国首脳は節目ごとに祝電を交わしてきました。外務省のファム・トゥ・ハン報道官は、今回の訪問を前に次のように述べました。
(テープ )
「政治・外交分野において、両国は各レベルで代表団を派遣し合い、緊密に協力し、国際社会においても互いに支持し合っています。特に国連や列国議会同盟、アジア議会会議などの場で協力を強めています」
経済面では、両国の年平均貿易額はおよそ2万ドルにとどまっていますが、近年は拡大に向けて努力が続けられています。ベトナムは現在、ブータンで2件の投資プロジェクトを行っており、登録資本金は93万7000ドルに上ります。ハン報道官はまた、次のように述べています。
(テープ)
「経済・貿易分野において、両国は二国間の貿易額を拡大するため力を尽くしています。ベトナムからは木材や機械、機器、部品などを輸出しています」
協力の余地が大きい
両国はまた、農業や観光、文化、教育、科学技術、デジタルトランスフォーメーション、グリーン開発などの分野に大きな潜在力があるとしています。このため、外務省間で協議の枠組みを設けるほか、協力の基盤となる協定の締結を検討しています。
特にブータンは、ゲレプ経済特区「マインドフルネス・シティ」へのベトナム企業の投資を歓迎し、観光や文化・仏教分野での交流拡大を期待しています。
仏教や精神文化に根ざした観光は、二国間協力の柱のひとつです。ベトジェット航空がチャーター便を運航し、ブータン観光を支援しています。また、ブータン航空も観光シーズンに合わせ直行便の就航を計画しており、両国の観光交流を後押しするとみられています。
教育や人材交流、宗教を中心とした協力も進んでおり、ブータンは学術や文化分野でのベトナムとの交流を重視しています。
両国首脳はこれまでの会見や会合で、経済、観光、文化、科学技術などの分野での協力に強い期待を示してきました。今回の国賓訪問は、農業や文化観光、教育、デジタルトランスフォーメーションやグリーン開発など、新たな協力の余地を切り開くものとみられています。
両国は、実際の発展課題を踏まえ、協力と友好の架け橋をさらに広げていく決意です。今回の国賓訪問は、その決意を具体化するものとなります。