黒いゼリーは、元々東北部山間部カオバン省タックアン県に住む人々にとって質素な食べ物の一つでしたが、最近、この地方を訪れる観光客が必ず購入すべき特産品として、広く知られるようになりました。実際、この食べ物は、大勢の人々から好まれているデザートであり、田舎の小さな市場から大都市の大型スーパーマーケットに至るまで販売されています。
仙草畑 |
黒いゼリーの原料である仙草はシソ科の植物です。この植物は、乾燥した地上部の葉や茎が使用され、味は甘く、性は涼であり、煎じて飲むと、暑気あたり、喉の渇き、熱毒に効用があるとされます。また、乾燥させて黒ずんだ葉と茎に重曹を少し加えて、煮つめて漉すと、デンプンとペクチンなどの多糖類が溶出するので、冷やすと凝固して黒いゼリー状の食品ができます。
干した仙草 |
黒いゼリー工場のオーナーであるノン・レ・トゥイさんは次のように明らかにしました。(テープ)
「私は祖父母から黒いゼリーの製造業を受け継ぎました。当時は、干した仙草を煮出すのに、薪を燃料に燃やしました。とても大変でした。最近では、ガスコンロ、または電気コンロを使用しますので、楽になりました。それに加えて、ゼリーは品質を変えることなく、より滑らかで見た目も美しくできます。大体、1㎏の乾燥した葉を煮ると、およそ20㎏の黒いゼリーが出来上がります」
トゥイさんの工場では、ピーク時の夏になると、毎日およそ3トンの黒いゼリーが生産され、北部各地方に出荷されているそうです。そこで、この工場の数十人の労働者がいつも忙しい状態にあります。トゥイさんの工場で働いている雇用者は次のように語っています。
(テープ)
「この工場は私の家からとても近いです。主人は優しい人で、収入も安定していますので、長い間この工場で働きたいと思います」
タックアン県の黒いゼリーは、2015年に、北部各省に出荷した後に、大勢の消費者から好まれるようになりました。2022年に、カオバン省のOCOP=一村一品製品として認められています。
北部バクザン省に住むグエン・バン・バオさんはタックアン県の黒いゼリー好きのひとりです。
(テープ)
「私は出張で時々カオバン省に行きます。タックアン県に通うたびに、黒いゼリーをお土産として買って帰りました。黒いゼリーはとても美味しいので、知り合いの人から頼まれて購入もしました」
カオバン省タックアン県は仙草の産地としても知られています。現在、仙草は栽培面積およそ400ヘクタールに上っており、地元の経済開発に役立つ主力植物となっています。さらに、黒いゼリーの生産も多くの家庭に安定した収入を与えています。