北部クアンニン省バチエ県に住む少数民族テイ族の人々は、昔から、自然界に存在する薬草を利用して、一般的な病気を治療することができます。あるいは、上手な人なら、難病を治療できる植物由来の「南薬」を製造することも出来ます。
ダップタイン村に住むズオン・ティ・ミンさんは、30年にわたって、「南薬」の製薬に従事しています。ミンさんは、小さい頃から、両親と一緒に、森へ薬草を採りに来たため、薬草に詳しい人です。そして、結婚してから、夫の親も植物由来医薬品の製造者であったので、この仕事との絆を深めました。
ミンさんは次のように語っています。
(テープ)
「それぞれの薬草は、それぞれの病気の治療に効き目があります。例えば、風邪の症状、骨や関節の痛み、骨折、腹痛、下痢、咳、体力が落ちた高齢者、食欲がない子供のための治療薬として製造されます」
ミンさんによりますと、「南薬」の中にはそのまま生で使えるものもあれば、必ず乾燥させてから効き目が出るものもあります。薬草は自然界に多くありますが、詳しい人だけが、その薬草の葉、根、樹皮、実などを調合し、治療薬を製造することが出来るとのことです。
ミンさんはさらに次のように語っています。
(テープ)
「薬草は、家の周辺、または、森の奥など至るところに存在しています。私は、村民に植物由来医薬品の製造方法を共有する用意があります。しかし、薬草の主な種類や効能を十分に覚えるのは難しいです。例えば、ただ1種類の薬草だけでも病気を治療することもありますが、数百種類の薬草を調合して製薬されたものもあります」
ミンさんは、数十年にわたって、「南薬」の薬草調合師として活躍しましたが、これまでに何人の人を治したのか数えられません。さらに数多く人々の健康に貢献したいといいます。国内各地から多くの顧客がミンさんの家を訪れ、彼女が調合した「南薬」を買いました。
ミンさんの娘であるタンさんは、「お母さんから、薬草の効き目を教わったが、薬草の名前と効き目を十分に覚えていない」と明らかにしました。
(テープ)
「私は、一般的な症状である腹痛、頭痛、鼻水の治療に用いられる薬草を調合できますが、難病の治療向けの薬草の調合は無理です」
ところで、バチエ県は、クアンニン省東北部の山間部にあります。そこで、地元の自然界には1千種あまりの貴重な薬草が存在していますが、そのうち30種類は高い価値をもたらしています。住民たちは、それらの貴重な薬草を調合した上で、効果のある薬を製造します。
ダプタイン村バクサ集落に住むチャン・ティ・クイさんは次のように明らかにしました。
(テープ)
「我が家は、多くの貴重な薬草を販売しています。例えば、山帰来、巴戟天、仙茅などです。それぞれの薬草は使い方、効き目が違います」
今日、伝統医学は近代医学とともに人々の健康ケアに大きく貢献しています。そこで、ベトナムの山間部に住む少数民族の人の家伝薬「南薬」は、山間部の住民にとって欠かせない一部となっています。