チョロ族のユニークな竹製楽器「ゴーン・クラ」

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(VOVWORLD) - チョロ族は、ベトナム南部の地域に暮らす、人口およそ3万人の少数民族です。豊かな自然の中で、独自の文化を守り続けています。そのチョロ族が大切にしている楽器が、竹でできた「ゴーン・クラ」なんです。
チョロ族のユニークな竹製楽器「ゴーン・クラ」 - ảnh 1ベテラン芸術家のディエウ・リエットさん

(ゴーン・クラの優しいメロディーが流れる)

お聞きいただいているのはゴーン・クラのやさしいメロディです。どんな楽器か、ちょっと想像してみてください。長さは40~60cmくらいの竹筒。その竹筒に、6本の弦が張られています。とてもシンプルな作りですが、その音色は、まるで風が竹林を吹き抜けるように、優しく、どこか懐かしいんです。

ゴーン・クラに使われる竹は、5年かけて育ったものが最適。古すぎても、若すぎても、良い音が出ないんです。チョロ族の人々は、山奥まで分け入り、表面がツヤツヤと光る、特別な竹を探し出すんだそうです。低い土地で育った竹は、水分が多くて、澄んだ音が出ないとされています。

ベテラン芸術家のディエウ・リエットさんは、楽器作りについて次のように語っています。

(テープ)

「ゴーン・クラを作るには、まず適した竹を見つけることから始まります。伐採した竹は、乾燥させてから弦を張ります。乾燥が不十分だと虫に食われやすく、乾燥しすぎると弦が切れやすくなってしまうのです」

ゴーン・クラの演奏は、一見簡単そうに見えますが、奥が深いのです。長年練習を重ねて初めて、自分の心の中にあるメロディーを、自由に奏でることができるようになります。

その音色を聴いた人は、どんな気持ちになるんでしょうか?チョロ族の女性、ティ・ロアンさんは、次のように話してくれました。

(テープ)

「ゴーン・クラの音色は、本当に特別。まるで笛のようで、聴いていると心が震えて、涙がこぼれそうになります」

チョロ族にとって、ゴーン・クラは、生活に欠かせない存在です。村のお祭りや、お祝い事には、必ずゴーン・クラの音色が響き渡ります。特に、子守唄を演奏する時に、よく使われるそうです。チョロ族のティ・タインさんの話です。

(テープ)

「母親が畑仕事に行く間、家で留守番をしている子供たち。泣いている子をあやし、優しく寝かしつけるために、ゴーン・クラの音色が、そっと寄り添うんです」

しかし、残念ながら、今、ゴーン・クラの音色が、消えかけています。新しい娯楽が増え、若い世代が、伝統文化から離れていってしまっているんです。地元の少数民族政策担当のダン・タイン・ヒエウさんは、次のように語っています。

(テープ)

「現在、チョロ族の中で、ゴーン・クラを覚えている人は、本当に少なくなってしまいました。このままでは、ゴーン・クラの美しい音色が、完全に消えてしまうかもしれません」

でも、希望の光もあります。ゴーン・クラの音色を絶やさないために、現地行政府は、演奏会を積極的に開催しています。また、ベテラン芸術家のディエウ・リエットさんが、若者たちにゴーン・クラの作り方、演奏の仕方を教える教室を開設する支援をしています。

いつか、ゴーン・クラの美しい音色が、再びチョロ族の村々に響き渡る日が来るかもしれません。私たちは、その日を信じて、チョロ族の文化を、応援していきたいですね。

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