チャム族による優雅な扇子の舞の様子 |
チャム族には80種類もの舞踊があり、それぞれが彼らの信仰に基づく80の神々に対応しています。多くの舞踊は宗教的・信仰的な要素や宮廷儀式としての性質を持ち、祈りの歌や儀式、神々への供養音楽などの形で表現されます。これらは寺院や塔、あるいは地域の大規模な祭りの場で披露されます。シヴァ神、ウマー女神、アプサラ女神などを称える舞踊は、個人または集団で演じられ、地域の人々に親しまれています。南中部ニントゥアン省ニンフオック県フオックザン町バウチュック地区に住むダン・チー・クエットさんは次のように語ります。
(テープ)
「チャム族の伝統舞踊は世代から世代へと受け継がれてきました。各舞踊は特定の神と独自のドラムのリズムに対応しています。チャム族は伝統楽器に合わせて踊り、歌います。これが私たちの文化の独自性です。チャム族の女性はほとんどが舞踊を心得ており、子どもたちも幼い頃から舞踊を見て自然と真似るようになります」
チャム族の民俗舞踊は、彼らの日常生活や生産活動を反映しており、主に「孔雀の舞」「水汲みの舞」「スカーフの舞」「火踏みの舞」といった4つの代表的な舞踊があります。
(チャム族の伝統舞踊の音楽)
チャム族にとって孔雀は喜びと幸運の象徴であり、孔雀の舞は地域の祭りや慶事に欠かせません。扇子を使った表現が特徴的で、扇子の舞もまたチャム族の女性なら誰もが知る一般的な舞踊です。
日常生活から生まれた水汲みの舞は、女性たちが水を入れた壺や陶器、果物を載せた盆、畑からの収穫物を入れた籠を頭に載せて運ぶ様子を表現しています。孔雀の舞との巧みな組み合わせにより、視覚的表現力が一層高められています。
チャム族の伝統的な陶芸技術の実演風景 |
スカーフは若い女性の純粋で優しい心を象徴していますが、スカーフの舞は女性だけでなく男性も参加します。女性の動きが優雅で流れるような表現であるのに対し、男性の動きは力強くたくましさを表しています。
一方、男性のみが踊る火踏みの舞は、通常チャム族の最大祭典リジャ・ナガル祭で披露されます。踊り手たちは足で火を踏み、鞭や剣を持って戦いの動作を行い、村や故郷を守るチャム族男性の強さと忠誠心を表現します。
(火踏みの舞で使われる音楽)
チャムの舞踊には特定の原則があります。例えば、踊っている間は常に姿勢を正しく保ち、足のつま先を動かす前には両足をそろえ、手の動きは頭より上に上げないなどの決まりがあります。
チャムの舞踊芸術は音楽や歌とともに発展してきました。特に注目すべきは、伝統楽器の伴奏がこれらの舞踊をさらに魅力的なものにしていることです。興味深いことに、これらの楽器は人体の部位になぞらえられています。ニントゥアン省のチャム族カムリーさんは次のように説明します。
(テープ)
「チャムの楽器は主に3種類あります。これらはギナン太鼓、パラヌン太鼓、そしてサラナイ笛です。ギナン太鼓は2つの長い太鼓で人間の両足を象徴し、パラヌン太鼓は人間の体と内臓を表しています。サラナイ笛には7つの穴があり、これは2つの目、2つの耳、2つの鼻の穴、そして1つの口を象徴しています」
チャム族の太鼓の打ち方も独特です。ニントゥアン省のチャム族カ・フィウさんの話です。
(テープ)
「太鼓を打つ2本のバチは人間の両手を象徴しています。太鼓を打つときはリズムのバランスが重要です。一人が陰の太鼓を打ち、もう一人が陽の太鼓を打ちます。陰の側では手で太鼓を打ち、陽の側ではバチで打ちます」
チャムの舞踊芸術はチャム族の貴重な文化遺産であり、各舞踊にはチャム族の豊かな文化的背景、世界観、人生観が込められています。さらに重要なことに、これらの舞踊はベトナムの54の民族からなる多様な文化的アイデンティティに大きく貢献しています。