踊り祭りの祭壇 |
踊り祭りは安定した天候、豊作、幸福、余裕のある暮らしを願うもので、旧正月に行われるため、「豊作を祈るお正月」とも呼ばれています。ザオ族の風習によりますと、踊り祭りはリ、バン、チエウというザオ族の3大一族の一家の長の家でのみ開催されます。ザオ族の居住地である西北部ソンラ省モクチヤウ県の文化通信センターのリ・バン・ビン所長は次のように語りました。
(テープ)
「『豊作を祈るお正月』はとても神聖な行事の一つで、2、3年ごとに一族の長の家で行われす。豊作の年には、旧暦の12月29日にその一族の人々が長の頭の家に集まってお供え物を準備します。夜になったら、皆はその年の豊作を祝い、来年も豊作になりますようにとお祈りをします」
お供え物は、豚や鶏、果物、お菓子などですが、最も重要な行事なので、周到に準備したいという気持ちを皆が持っています。「踊り祭り」は、ザオ族の祖「バン・ヴォン」と、先祖に感謝の気持ちを示すため、お供え物の用意のほか、祭壇の掃除と飾りの準備も重要です。一族の威信のある高齢者か、村の祈祷師に祭壇の飾りを頼むのが一般的です。伝統的な赤い紙を切って、太陽や魚、馬、犬などの形をしたシールを作って祭壇に貼り付けます。モクチヤウ県フィエンルオン村に暮らすリ・チョン・シンさんは次のように語りました。
(テープ)
「ザオ族の祖『バン・ヴォン』と一族の先祖の恩に感謝することは祭りの重要な目的の一つです。『バン・ヴオン』と先祖を祀る祭壇は一族の長の家にしかありません。一族のほかの家の祭壇はそれより小さくて簡素です。そのため、「踊り祭り」は一族の長の家でだけ行われます」
踊り祭りで披露される踊り |
祭りに欠かせないもう一つの主人公は神の恵みにより幸運を招くという意味を持つ木です。モクチヤウ県の文化通信センターのリ・バン・ビン所長は次のように語りました。
(テープ)
「この木は豊作を象徴し、29日夜に立てられます。木には、豊作を意味する果物がたくさんつけられます。また、熊やリス、蜜蜂の巣も添え付けます。これらは、豊作のほか、狩猟と採集でも運よく、リスや蜂蜜などがたくさん手に入れられるという意味です」
踊り祭りの名の通り、祭りのハイライトは男女のグループが銅のシンバルの音色に合わせて、祈祷師の指揮の下で舞うことです。初めは、神様と祖先が祭りを楽しむよう、14種の歓迎の踊りを舞います。それぞれの舞いは象徴的で独自性が高く、神様と祖先が降臨し、祭りを楽しむ様子を描写します。主な踊りには鶏を供養する踊り、道を案内する踊り、橋をかける踊りなどが挙げられます。先ほどのリ・チョン・シンさんは次のように語りました。
(テープ)
「最初は4人か6人の屈強な男性が踊ってから、民謡を歌います。その後、彼らは家を出て村を回って悪魔を追い払います。これは、その年の不運などを取り除き、新年に良いことしか訪れないようにという願いからです。その後、家に戻ってまた踊り、幸運や豊作などを祈ります」
「踊り祭り」は先祖の恩を思いだし、豊作を祈るためだけでなく、一族のつながりを強くするためでもあります。そのため、現在も、ザオ族の人々は「踊り祭り」を大切に保っています。