ベトナム語で「タオメオ(Táo mèo)」と呼ぶ黄実の山査子 |
キミノサンザシ(黄実の山査子)はバラ科サンザシ属の落葉低木です。果実が黄色に熟するところから日本語でキミノサンザシと呼ばれますが、ベトナム語では「タオメオ(Táo mèo)と呼んでいます。
もともと野生植物であったキミノサンザシは、最近、糖尿病、高血圧、睡眠不足、消化不良などに効き目があると知られるようになり、ベトナム北部ソンラ省の山間部の住民にとって経済的価値の高い植物として栽培されるようになっています。キミノサンザシの果実を採取して種を取り除き、天日で乾燥して漢方薬に使われるほか、キミノサンザシのワイン、ジャム、飲み物などに使用されています。
キミノサンザシの収穫期は8月末~10月ころまでです。この時期にソンラ省を訪れるなら、標高1000m~2000mの山々でキミノサンザシを収穫している人をよく見かけられることでしょう。バクイエン県シムバン村ハンチョオ集落に住むムア・ア・スさんの一家は、10ヘクタール余りのキミノサンザシの畑を有しています。
この5年間、この植物のお陰で、スさん一家の生活は著しく改善されたそうです。
(テープ)
「以前、我が家は、畑仕事だけをしていたので、生活は困窮していました。しかし、5年前に、キミノサンザシを栽培し、毎年5トンないし10トンのキミノサンザシの果実が採取できるようになったため、高収入を得ています。この収入で、家族の生活費と子どもの学費が十分に賄えますよ」
現在、キミノサンザシの栽培は、地元の貧困解消に役立つ植物となっています。住民は次のように語っています。
(テープ)
「我が家は1ヘクタールのキミノサンザシの畑を有しています。農業奨励幹部が栽培技術や、キミノサンザシの手入れなどを教えくれたので、収穫量は増えています。キミノサンザシの果実は人気があるため、栽培面積を増やすつもりです」
バクイエン県、特に、タスア、チエウ、シムバン、ハンチュー、ハンドンの各村は気候と土壌がキミノサンザシの成長に最適しています。現在、同県にはおよそ2600ヘクタールのキミノサンザシの栽培面積があります。この植物をさらに発展させるためにこの数年間、各レベルの行政当局はキミノサンザシ栽培業者に栽培技術など教えています。シムバン村人民委員会のザン・ア・ネン委員長は、2年間新型コロナウイルス感染症の影響を受けたものの、現在、キミノサンザシの消費は少しずつ安定し、農民に安定した収入を与えています。
(テープ)
「シムバン村には主に稲とキミノサンザシが栽培されています。キミノサンザシは村人にとっての主要収入源で、貧困解消に寄与する重要な植物となっています。キミノサンザシの卸売業者は、キミノサンザシ農園まで行って、買い付けるため、農民は販売先を心配しなくなっています」
バクイエン県は、キミノサンザシ果実の付加価値を高めるため、キミノサンザシ栽培地域の区画整理、キミノサンザシの果実の貿易振興活動、消費先の拡大を進めるとともに、地元企業のキミノサンザシ果実の加工、保管ラインの建設をサポートしています。