伝説によりますと、今から2世紀前に、中部ビンディン省タムカン県出身のレ・ティ・ホン(俗名:ティカック)という名前の少女はお父さんと一緒に、南部バリア・ゴコン地域に移住し、商売をしていました。彼女は、この土地の自然の風景を好きになり、恵まれない人々を手助けして、人々から愛されていました。しかし、ある日、彼女は父親とともに漁獲のために、沖合いに出ている途中で事故に遭い、亡くなりました。16歳でした。現地の漁民たちは、彼女の遺体を「コソン」という丘に埋葬し、沿岸に彼女を祭る社を建立しました。1930年までに、漁民たちは、この社を「キーバン」という山に移転しました。毎年の旧暦2月10日~12日まで、地元の漁民たちは、「ジンコ」祭りを盛大に行っています。
少女の命日に当たる旧暦2月12日の早朝から、すべての漁船が集まって、沖に向かい、故人の女性の霊を迎える儀式を行います。漁船列の先頭に立つ船は、もっとも漁が上手な漁師のものです。漁船には、玉座、位牌が据えられ、儀式の担当者、および高齢者を乗船させます。太鼓の大きな音が打ち鳴らされ、漁船の列は約2~3海里ほど航行し、少女が事故に遭った場所で止まります。ここで、祈祷師が儀式を始めます。
3日間にわたる祭りの開催期間中、少女を祀る社はきれいに飾り立てられます。また、漁船の中に設置された机の上には、線香鉢や菓子、オコワ、果物などのお供え物が並べられます。そして、港に停泊する漁船は、紙製の提灯や花で飾られ、夜になると提灯に明かりがつき、美しい。
歌舞公演の様子(写真提供:ittpa.baria-vungtau.gov.vn)
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ロンディエン県ロンハイ町人民委員会のチャン・コック・ニャン副委員長は次のように明らかにしました。
(テープ)
「漁民たちは、国の繁栄と国民の幸福、天候が穏やかで、魚がたくさん獲れるように祈るため、『ジンコ』祭りに参加するのです。私たちは、2024年に、この祭りの開催に合わせ、さらに多くの活動を実施する予定です」
「ジンコ」祭りでは、伝統的な儀式の傍ら、歌舞公演や、凧揚げ、バレーボール、竹馬散歩、漁網の編みに関わる試合など様々な活動も行われます。ロンディエン県観光区管理委員会のホ・ゴック・ザオ副委員長は次のように語っています。
(テープ)
「今年、凧揚げ祭りがはじめて開催されました。このイベントは、『ジンコ』祭りの面白さを高めることが狙いです。私たちは、伝統的な儀式の質向上に注力する方針です」
1995年に、「ジンコ」祭りは、国家レベルの歴史・文化遺跡として認定されました。さらに、2023年2月14日に、文化スポーツ観光大臣は、バリアブンタウ省ロンディエン県ロンハイ町の「ジンコ」祭りを国の無形文化遺産と認めることを決定しました。このことは、地元の観光振興に貢献するものと期待されています。
ロンディエン県人民委員会のラム・バン・ホン委員長は次のように明らかにしました。
(テープ)
「『ジンコ』祭りが国の無形文化遺産として認定されることは、住民にとって誇りであり、モチベーションであると同時に責任でもあります。私たちは、この称号に値するものとするため、祭りの保存と発展に取り組む方針です。さらに、観光客を誘致できるように、祭りの質向上に力を尽くします」
2023年の祭りは、延べ10万人の参加者をひきつけました。「ジンコ」祭りは、民族色豊かな文化を持つだけでなく、幸福と平穏な生活をという住民の願いを示すものでもあります。