イェン・トゥー、ビン・ギエム、コンソン・キップバックの遺跡複合体 |
この遺産は歴史的遺産であるだけでなく、人間と自然が調和した場所でもあります。この遺跡群は、イェン・トゥー山にまたがり、クアンニン、バクニン、ハイフォンという3つの省や市に点在する国の特別史跡6カ所で構成され、総面積は約5万2575ヘクタールにのぼっています。この遺跡群は18世紀に、チャン朝の皇帝であり僧侶でもあったチャン・ニャン・トンが創始したチュックラム仏教の誕生と発展の歴史がその中に刻まれています。
現場の音
イェン・トゥー歴史遺跡と景勝地には美しい自然風景があるほか、多くの僧房、僧侶の塔碑、仏教石碑が点在し、2012年に国の特別史跡に認定されました。毎年、数百万人の参拝者や観光客がこの遺跡群を訪れます。
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「イェン・トゥー山へ参拝するのは今回が初めてです。ロープウェイを使わず、自分の足で登りました。これまで行った場所の中でも最も美しく、神聖な場所です。」
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「ここでの風景は壮大です。これは多くの人々に心の安らぎをもたらす所だと思います」
この遺跡群は三つの構成要素から成り、チュックラム仏教の創始から普及、そして、復興までという発展の道のりを示しています。ビン・ギエム寺院には、2012年にユネスコの世界記憶遺産として登録されたチュックラム仏教の経典木版が保存されており、3000以上の木版経典がベトナムならではの仏教思想の源泉を物語ります。
伝統的祭り |
ビン・ギエム寺の副住職であるティック・タイン・ヴィン師は次のように述べました。
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「ビン・ギエム寺は以前、講義と経典の彫刻・印刷の中心地でした。現在は木版の保存を目指し、経典の翻訳に取り組んでおり、2015年以降、実用的な価値のある三部の翻訳を完了しました」
ビン・ギエム寺は、李王朝と陳王朝時代の仏教精神をそのまま保存している建築の傑作です。この寺には三門、拝堂、香炉堂、主殿、鐘楼を備え、最初の僧侶養成機関としての役割も果たしました。
現場の音
ユネスコの第47回世界遺産委員会会議に参加したベトナム代表団 |
一方、コンソン・キップバック遺跡は仏教と庶民生活の結び付きが形となった場所です。コンソン・キップバック遺跡管理委員会・観光サービス部のファム・ティ・フエ副部長は次のように述べました。
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「キップバック神社には、多くの有形・無形文化財が保存されています。特に、ここでは現在も多くの伝統的行事が行われています」
イェン・トゥー山頂から古い寺ビン・ギエム、そしてコンソン・キップバック遺跡へ辿る巡礼路は信仰と伝統、過去と現在を繋ぐ歴史の源流です。その歴史的価値を越え、国際社会に認められたことで、新たな文化的価値が今後花開くことが期待されます。