ジウさん(写真:Công Mạo/TTXVN) |
南部アンザン省在住の少数民族クメール族出身のチャウ・ゴック・ジウさんは、「パルマニア」の名で国内市場にパームシュガーのブランドを確立しただけでなく、長年にわたりオランダ常駐パルマニア株式会社の代表事務所を通じて、パームシュガーの欧州市場への輸出を推進しています。
パームシュガーとは、ココナッツヤシと同じ仲間のオウギヤシの花蕾より得られる花房液を煮詰めて作られた砂糖です。
1982年生まれのジウさんは、長年にわたってホーチミン市で学び、仕事をした後、2017年に故郷に戻って、パームシュガー製品で起業することにしました。これは、アンザン省バイヌイ地域の住民の伝統的な特産品となっています。2017年6月、彼女は2人の友人と共にパルマニア株式会社を設立し、パームシュガー製品の買い付け、加工、流通を行うためです。
パームシュガー製品の経営でスタートアップを選んだ理由について、ジウさんは次のように明らかにしました。
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「パームシュガー 製品に『パルマニア』と名付けました。『パル』はクメール語で「ヤシの木」、『マニア』は「情熱」を意味します。私たちのチームは、自然への愛、オウギヤシの木への愛を込めた製品を提供したいと考えているからです。国内外の消費者の皆様に、オウギヤシの木の付加価値をより身近に届けたいと願っています」
オウギヤシの木(写真:Công Mạo/TTXVN) |
アンザン省バイヌイ地域は、自然の恵みによりオウギヤシの栽培に適しており、その砂糖は独特の風味を持つことで知られています。古くから、この地の住民はオウギヤシを栽培し、この土地の有名な特産品として作ってきました。しかし、この特産品はまだブランド化されておらず、市場での流通も広くありませんでした。
(テープ)
「パームシュガーに関する伝統産業を築き、起業の道に足を踏み入れたことは、困難と試練に満ちた道のりでした。当初、私にとって最大の課題は、農家の方々と会い、伝統的な製品に対する考え方を改めた上で、生産工程に科学技術を導入して食品安全を確保するよう説得することでした。さらに、アンザン省バイヌイ地域在住のクメール族の人々は、オウギヤシの花房液を煮詰めるという従来からの作り方を守ってきましたが、この技術は徐々に衰退しています。現在、その方法を覚えていて、それを実践できる人はほとんどおらず、先世代から経験を学ぶことが非常に困難からです」
幸いなことに、彼女は仕事への情熱を持ち、喜んで協力してくれる農家を見つけることができました。農家、アンザン大学の講師、そして地方行政府の後押しを受けたことにより、ジウさんは製品をより完璧なものにする決意を固めました。
オウギヤシは実をつけるまでに25年以上かかるため、従来からの製造方法でパームシュガーを生産し、その栄養価を保ちながら、生産効率を高める方法を研究しなければなりません。ジウさんと4年間協力してきた農家のネアン・キム・サンさんは次のように語っています。
(テープ)
「 従来からの製造方法を活用した場合、濃縮時間が長くなります。そこで、当社は農家が砂糖を迅速にかき混ぜるための機械を提供してくれました」
ジウさんは、パームシュガー製品を消費者に親しんでもらうために起業家育成プログラムや展示会に参加すると共に、国内外のコンテストにも挑戦しています。特に、2020年に食の「オスカー賞」と見なされるイギリスのグレート・テイスト・アワードに参加し、2つ星を獲得しました。続いて、2021年には1つ星を獲得しました。これらは、ジウさんとパルマニア株式会社が製品の価値を高め、アンザン省のパームシュガーを世界に羽ばたかせるための原動力となっています。