グエン・バン・チュン氏(写真: Diệu Huyền/qdnd.vn) |
ハノイ市郊外にあるチュオンミー県フーギア村の職人、優秀職人の称号を持つグエン・バン・チュン氏は、やわらかな竹と籐、そして巧みな手仕事により、ホー・チ・ミン主席の美しい肖像画を作り出しています。チュン氏の話です。
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「ホー・チ・ミン主席をはじめとする偉大な指導者の姿を描くことはまさに情熱から始まるものです。私はただ、指導者の魂を正確に表現したい、それだけなんです」
伝統的な籐編みの村フーギア村で生まれ育ったチュン氏にとって、竹や籐の繊維は幼い頃から生活の一部でした。今では8代目として家業を守り続けています。中でも特筆すべきは、チュン氏はホー・チ・ミン主席の肖像画を竹や籐で編む唯一の職人であるということです。彼の作品は、美しく、生き生きとした表情を持ち、多くの人々を魅了しています。チュン氏は次のように話しました。
(テープ)
「昔のご先祖様も写真や絵を編もうとしていたんです。私は村の年配の職人に弟子入りし、技術を学びました。上達したとき、私は“ホー・チ・ミン主席の肖像を編もう”と決意しました。これは我が民族の指導者を称えることであると同時にこの伝統工芸の魅力を広く伝えるためのものでもあります」
チュン氏が制作したホー・チ・ミン主席の肖像画(写真:Lâm Nguyễn/kinhtedothi.vn) |
ホー・チ・ミン主席への特別な想いと敬意を胸に、チュン氏は長い年月をかけて研究し、技を磨いてきました。その努力の成果として、1976年、彼は初めて主席の肖像を竹と籐で完成させました。チュン氏の話です。
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「1976年、ベトナムの南部が解放され、国が統一されました。すべての人々が歓喜に包まれていました。その時、私は“自分がこの仕事をしているのなら、この技術を世に紹介すること、そして心から敬愛する指導者への敬意を表すために、絶対にホー・チ・ミン主席の肖像を編み上げよう”と心に誓ったのです」
竹や籐で絵を編むだけでも難しいですが、人の肖像を正確に表現するのは、さらに難易度が高い作業です。表情と“魂”を作品に込めるために、チュン氏はハノイ工芸美術大学に通い、技術を磨きました。また、ホー・チ・ミン主席の写真や資料を集め、徹底的に研究を重ねました。チュン氏は「肖像画についていえば、美しいけれど似ていなければ意味がない。似ていても魂がなければ、それもまた無意味である」と考えました。チュン氏の話です。
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「絵に魂を吹き込むことが一番の課題です。働いているとき、地方を訪れているとき、子どもたちと一緒にいるときなどどんな場面でも“これはホー・チ・ミン主席だ”と認識されなければなりません。ホーチミン主席を表すのに重要なのは、まず額です。主席の額は広く、もし一目でも織り方がずれれば、その印象が大きく変わってしまいます。次に大切なのは目です。やさしさと親しみ、そして明るさを込めて編む必要があるのです」
チュン氏の編み絵芸術におけるユニークなことは、さまざまな伝統的な編み技法を巧みに組み合わせることで、自然な陰影と人物の表情を見事に再現していることです。
チュン氏がこれまで授与された表彰状(写真: Diệu Huyền/qdnd.vn) |
繊細な竹や籐の一本一本を丁寧に扱い、15〜16種類もの技法を駆使して、ようやく一枚の作品が完成します。ホー・チ・ミン主席の肖像画一枚一枚には、緻密な作業だけでなく、形のバランス、光と影、奥行き、そして人物の“魂”への深い理解が必要です。素材選びにも一切の妥協はありません。時には何日もかけて、適した竹や籐を選び、しなやかさを調整し、色を染めてから、ようやく編み始めるという徹底ぶりです。
フービン村の職人、グエン・バン・ティン氏は次のように述べました。
(テープ)
「作品に心を込め、敬意を持って取り組めば、手の動きが自然に洗練され、編んだ作品の質が高まります。これは非常に希少な技術であり、誰にでもできることではありません」。
同じく村の職人、グエン・バン・クアン氏も次のように述べています。
(テープ)
「チュンさんはホー・チ・ミン主席の肖像を編むことに非常に情熱を注いでおり、その姿勢に多くの若者が感銘を受けています。私自身もチュンさんに学び、肖像編みの技術を習得したいと思っています」
これまで、チュン氏はホー・チ・ミン主席の肖像画200点以上を制作しました。
代表作には、1950年の秋冬国境作戦におけるホーチミン主席の姿や、子どもたちと触れ合う主席の肖像などがあります。最も小さな作品は40センチ×60センチ、最も大きなものは1.6メートル×2メートルにも及びます。これらの作品は、国家機関や国際団体に贈られることも多くあります。また一部は伝統工芸の魅力や首都ハノイの文化を広く紹介するため、展示会や博覧会、博物館に出展されていました。チュン氏は、これまでに国内外で数々の栄誉ある賞を受賞しています。
たとえば、「国際青年と創造賞」、「インドシナの金の手賞」、そして日本での「精巧な手工芸製品賞」などが挙げられます。その手は巧みであり、心は職人魂に満ちています。チュン氏は巧みの技や伝統工芸への愛着を持つだけでなく、今後もこの伝統工芸の維持、保存とPRに力を注いでいます。