2021年12月、フンイエン省ティンルー県アンビエン村アンサー神社に保存されている土の塔が国宝と認定されたことで、フンイエン省は6つ目の国宝を保有することとなりました。
石で造られた獅子の像(写真:Báo Hưng Yên) |
フンイエン省バンザン県メーソー村にある寺院に保存されている千手観音菩薩像は2018年に国宝に指定されました。この像は、ベトナム国内の千手観音菩薩像で最多の1113本の手と1113個の目を有し、19世紀から同寺に祀られています。総高280cm、仏像総高140cm、台座53cm、蓮台23cmからなり、ジャックフルーツの木で造られ、繊細な彫刻が施されています。これは19世紀初頭に作製されたベトナム最高峰の千手観音菩薩像とされています。
一方、フンイエン省バンラム県ミンハイ村はフンイエン省の6つの国宝のうち2つを保有し、これらはフオンラン寺にある石で造られた獅子の像と階段で、11世紀末~12世紀初頭に造れらたとされています。獅子の像はリー王朝における石の彫刻の発展を示す証拠とされています。バンラム県文化情報部のホアン・ヒュ・ナム部長は次のように語りました。
(テープ)
「現時点で、これはリー王朝時代から残っている3点の像の一つです。封建時代から伝えられた伝統文化の価値が表れています」
2020年、この獅子の像が国宝に指定されました。文化遺産研究者であるチャン・ラム・ビエンさんは次のように語りました。
(テープ)
「フオンラン寺にはリー王朝の多くの文化遺産が残されています。特に、ここにある石造の獅子の頭に置かれた蓮台は全国で最も大規模なものです」
また、フオンラン寺にある狻猊(さんげい)10頭が彫刻された石の階段も2020年に、国宝として認定されました。先ほどのバンラム県文化情報部のホアン・ヒュ・ナム部長は次のように語りました。
(テープ)
「これらの作品を通じて、リー王朝の職人の繊細な技を理解できます。考古学者によりますと、これらの作品は物質面だけでなく、精神面で価値があるものです」
フンイエン省イエンミー県タンベト村にあるカインラム寺院の石碑とキムドン県ブーサー村コンブー集落で発見された金づくりのお皿5枚も国宝として認められました。
国宝の土づくりの塔(写真:Hữu Nghị/Báo Dân Trí) |
そのほか、国宝の土づくりの塔があります。塔はティンルー県アンビエン村アンサー集落にあるアンサー神社の敷地内に位置し、ベトナムの道教の神社として昔のままの姿が残されている唯一のものです。この塔は12層があり、天と地との懸け橋を表すとされています。先ほどの文化遺産研究者であるチャン・ラム・ビエンさんは次のように語りました。
(テープ)
「この塔には多くの模様が飾り付けられています。これは外観を美しくするだけでなく、ベトナム人の心や願望を示しています。」
この特別な価値により、2021年12月、アンサー神社の土づくりの塔が正式に国宝として認定されました。この遺跡がベトナムにおける道教と仏教との交流を示すものとされています。
フンイエン省が保存している国宝は同省の威信だけでなく、同省特有の文化的価値を表わしていると言えます。