テトにそなえる花の栽培村

ベトナムの伝統的な正月テトには富める者、貧しき者を問わず、どの家庭でも花を飾ります。花はそれぞれの家庭に春をもたらすからです。テトの１ヶ月ほど前から、ハノイ市内の花市場が賑わっています。また、自転車に乗って桃の花やユリなど様々な花を売る娘たちが目立ちます。テトの前にハノイで開かれる最も大きな花市場は、旧市街のハンルオック(Hang Luoc)市場と、ハノイ郊外のクアンバ(Quang Ba)市場です。近年、クアンバの花市場は花の卸売りとして最も大きな花市場となっています。

ハノイにはニャッタン(Nhat Tan) 、ギータム(Nghi Tam) 、クアンバ(Quang Ba) など多くの花を栽培する村がありますが、ハノイの市場で扱われている花はハノイ郊外と周辺の各地で栽培されたものです。その中で、ハノイから東北へ110キロ離れたところにあるクアンニン省ドンチエウ町ビンケー村は近年、ハノイをはじめ、北部各地にとって大きな供給源となっています。

ビンケー村の畑

テトが近づく中、ビンケー村に足を運ぶと、農民たちが、テトに間に合うように開花することを目指して、花や観賞植物の世話に全力を尽くしている風景を見かけることができます。

クアンニン省ドンチエウ町ビンケー村ドンドー集落の花農家らは早朝から畑仕事に追われています。金柑、桃の花、ユリ、菊の各庭園では、農民たちは肥料を与えたり、水やりをしたり、枝を剪定したりするなど花の手入れに細心の注意を払っています。植物の生育に適した気候なので、テトの花が豊作となることを誰もが期待しています。

ビンケー村の農民によりますと、ここでの最も賑やかな時期は旧暦 12 月中旬に始まるそうです。商人が商品を売りに来たり、人々が庭園を訪れ、花を購入したり、写真を撮ったりするためにここに集まってくるからです。ドンドー集落に暮らすチュオン・ティ・トゥイさんは、家族が所有する1500平方メートルの土地で栽培されている観賞用金柑は順調に成長しており、商人らは昨年よりも高い価格で金柑の半分を購入するための手付金を払っていると述べ、次のように語りました。

（テープ）

「樹木の品質は昨年と同じですが、価格は高くなります。現在の価格は1本当たり40万ドンから80万ドン（日本円で2400円～4800円）です。この一年、金柑の栽培と手入れに多くの労力と費用が掛かったので、高値で売れることをとても喜んでいます。もっと多くの人がビンケー村の花について知り、ここに来てより美しい植物を手頃な価格で購入できるようになれば幸いです」

鑑賞用金柑に水やりをしているビンケー村の農民

ビンケー村の花栽培面積は185 ヘクタールに上っており、ドンチエウ町で最大の花栽培面積を持つ村です。ビンケー村のテト用の花は、主に菊、グラジオラス、ユリ、スミレ、桃、観賞用の金柑です。また、最近、ビンケー村の花農家らは、生産性と効率を高めるために新しい品種を試験的に栽培しています。ビンケー村ゾックマン集落にあるド・ヴァン・クオンさんの庭園では、この4年、テト用の花を栽培するとき、クオンさんは面積の約3分の1を伝統的な花と並行して新しい花の品種の栽培に充てています。いろいろな創意工夫をしていたクオンさんは新しいグラジオラスの花の栽培にも成功しました。クオンさんの話です。

（テープ）

「これはベトナムのグラジオラスの品種ですが、歩留（ぶどまり）が非常に良好であることがわかりました。例えば、100 本の木を植えた場合、成長できないのは 1 本だけです。以前に植えた在来種は80～90％にとどまっていました。私はこの新しいグラジオラスの繁殖を行い、値頃な価格で周辺の農家に販売しています。そして、これら６種類のグラジオラスの花も海外から持ち込まれたものですが、私たちが栽培しているグラジオラスには及ばないようです」