デジタル農業の開発において先頭に立つ農場オーナー

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(VOVWORLD) - 今、社会全体で、デジタル技術を活用して産業や社会をより良いものへと変革を目指すデジタルトランスフォーメーション(DX)の取組が進められています。農業においても、DXの取り組みが広げられており、その代表的な一例は、南部ビンフック省ブーザーマップ県にあるティエンノン農場を営むダン・ズオン・ミン・ホアンさんです。
デジタル農業の開発において先頭に立つ農場オーナー - ảnh 1ダン・ズオン・ミン・ホアンさん

フランスでオートメーション技術を身につけたホアンさんは、国内外の企業から高額な給与の求人を受けましたが、2016年に故郷である中部ビンフォック省に戻ってデジタル農業の開発に力を入れることにしました。いろいろな創意工夫を凝らしたホアンさんはデジタル農業の開発において先頭に立つ農場のオーナーとして知られています。

1988年生まれのホアンさんは、起業してから7年経った現在、面積50ヘクタールもの農場を所有しています。「ティエンノン」というこの農場では、アボカドの栽培面積は12ヘクタールで、残りはゴムとコショウです。アボカドの収穫量は年平均100トンで、費用を引いた後、ホアンさんは60億ベトナムドン(日本円で3500万円)もの利益を得ています。ホアンさんの農場で栽培されたアボカドは国内のほか、ラオスやカンボジア、中国、日本に輸出されています。また、彼は、ヨーロッパ市場も開拓しようとしており、デジタル農業によって栽培されたアボカドはヨーロッパの厳しい基準を満たすことができるとの確信を持っています。

ホアンさんの農場では多くの技術が導入されています。農場全体は、センサーシステム、点滴灌漑システム、それぞれの木に肥料を自動的に施すシステムが設置されました。IoTモノのインターネットを通じて、土の湿度、点滴された水量、作物の成長状態などに関するデータがセンサーによって集められた後、スマートフォンに送られます。アルゴリズム分析をくわえた後、作物に最適なアドバイスが提案されます。これによって、作物がよく成長するほか、水を80%、肥料を40%節約することができたそうです。   

ホアンさんは、作物の栽培のほか、アボカドの生産者、生産日、生産方法などの生産についての情報や、どのような経路で運ばれてきたかなどの流通についての情報を消費者自身が確認できる仕組み(トレーサビリティ)も導入しています。ホアンさんの話です。

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「クリーンな有機農業は消費者が必ず求める傾向であり、多くの農家が目指しているものでもあります。しかし、有機農業だけは不十分で、デジタル農業の開発をしなければ、農業の効率向上、および消費者とのつながりの強化は不可能でしょう。デジタル農業と有機農業の結合は、作物の栽培とその生産工程の透明性の確保、ブランドづくり、消費者の信頼醸成に貢献できると思います」

デジタル農業の開発において先頭に立つ農場オーナー - ảnh 2それぞれのアボカドの木につけられるQRコード

デジタル農業の開発に成功したホアンさんは、ビンフォック省の農民の模範となっています。「遠くへ行くなら、一緒に行こう」を方針とするホアンさんは、2022年6月に幾人かの実業家と連携して「ビンフォックデジタル農業サービス協同組合」を設立し、デジタル農業の普及について他の農場をできる範囲で手伝っています。わずか1年間で同組合には数十の農場に対してデジタル農業の開発に関する知識とノウハウを伝えることができました。これにより、ビンフォック省のデジタル農業によるアボカド栽培面積は200ヘクタールに上っています。ビンフォック省フォックロン町にある「ザーバオ・エコファーム」のオーナー、グエン・ミン・ヒエウさんは次のように語りました。

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「ホアンさんは、情報技術に詳しいですし、イノベーションにも大きな興味を持っています。彼は私たちにいろいろな案内・指導をしてくれたほか、デジタル農業に関心をもつ人たちのつながりを強化するための懸け橋としての役割を果たしています。これにより、ビンフォック省のデジタル農業は大きく変貌していると思います」

現在、「ビンフォックデジタル農業サービス協同組合」の会員は12の農場ですが、会員全員はホアンさんの農場を模範に、DXデジタルトランスフォーメーションを精力的に進めています。同組合は、ブロックチェーンを基盤にした「オートアグリ」というアプリケーションを開発し、その中で、デジタル農業を詳しく説明するとともに、農場に使われた水量や肥料に関する情報、およびそのデータ分析とアドバイスを提供する機能を持っています。このアプリは会員である12の農場はもちろん、ビンフォック省の約1500の農家が無料で使えます。ホアンさんをはじめ、「ビンフォックデジタル農業サービス協同組合」はビンフォック省のデジタル農業の開発においてけん引役を果たしていると評価されています。同組合のパートナーであるビンフォック省投資貿易観光促進センターのチャン・クォク・ズイ所長は次のように語りました。

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「私たちは愛情と支援の精神をもって農民とともに歩み、具体的な対策で農業のイノベーション・エコシステムの構築に貢献しています。例えば、ホアンさんのような専門家に頼み、農民を対象とした勉強会を開いたり、技術移転を行ったりしています。ビンフォック省の農業が発展し、ビンフォック省の農産物が世界各国に出荷されるものと期待しております」

現在、ホアンさんは、農業で立派な成績を収めた全国の若者を集める「ルオン・ディン・クアネットワーク」の担当者も務めています。ルオン・ディン・クアという人物はベトナムの著名な農学研究者で、第2次世界大戦中に九州大学農学部に留学し、その後、京都大学に入って農学博士号を取得しました。こうした有名な農学者の名をもつネットワークの担当者として選ばれたことを誇りにしているホアンさんは、デジタル農業の開発と普及に全力を尽くす決意を固めました。

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