テイグエン地方のゾウに関する独特な文化

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(VOVWORLD) - ベトナム中部高原地帯テイグエン地方はゾウの生息地で、人とゾウが一緒に暮らしていることでも知られています。ゾウに関する文化はこの地方の豊かな文化の一部です。
テイグエン地方のゾウに関する独特な文化 - ảnh 1

統計によりますと、ベトナム全土での野生のゾウはおよそ120頭で、その7割はテイグエン地方に生息しています。そして、人間が飼っている象は45頭で、そのほとんどがテイグエン地方にいます。

テイグエン地方に暮らす少数民族にとって、昔からゾウは権威と財産のシンボルであり、畑に行って作物を運んだり、建築資材を運んだりする重要な働き手でもあります。また、村の幸運と繁栄を象徴するゾウは神様の化身とされるため、村のすべての信仰的な儀式に欠かせない存在です。そして、ゾウは村の一員として人間と同じように考えられています。例えば、ゾウが生まれたら名付けのの儀式、ゾウの健康を祈る行事、ゾウの結婚式、出産を祝う行事、葬儀など、ゾウに関する祭りや行事が盛んです。その中で、ゾウの健康を祈る行事は今もなお、毎年催されています。

ダクラク省ブオンドン県クロンナ村チー集落に暮らす少数民族エデ族にとって、ゾウの健康を祈る行事は集落の最も重要な行事です。この行事の開催場所は集落の人々に水を供給する谷川です。開催日には、集落の祈祷師が率いて村人たちが列を作って集落から谷川へお供え物を持って行きます。現在、この集落で飼育されているゾウは7頭ですが、全てのゾウは色とりどりの錦織に覆われるとともに、好きな食べ物をたくさん食べさせられます。集落の住民イ・タン・リャさんは次のように語りました。

(テープ)

「この行事はゾウの健康を祈る伝統的なもので、ゾウに対する尊重を示すためのものです。行事では、ブタの血を酒に混ぜてゾウの体に塗ります。これは、ゾウが病気にかからず、たくさん食べて健康であるようにという希望の現われです」

テイグエン地方のゾウに関する独特な文化 - ảnh 2ゾウの健康を祈る行事

一方、少数民族ムノン族はゾウを家族の一員と考えています。ゾウの世話は大変な時もありますが、みんなで面倒を見ます。ゾウは話せないだけで、人間のように、愛情や喜び、悲しみ、怒りを持っているとされています。ゾウの健康を祈る行事は、ゾウの健康はもちろん、飼い主と村全体に幸運が訪れることを祈るものです。かつて、この行事は、その飼い主が収穫期の終わった後、または、村の重要な出来事の後に行うのが一般的でした。しかし現在、村は2、3年ごとに、村のすべてのゾウを対象に健康を祈る行事を行うようになりました。行事の前に、ゾウはきれいに洗われて、バナナやトウモロコシ、サトウキビなどゾウの好物を食べさせます。これは、大いに働いてくれたゾウに感謝の意を示すためです。

クロンナ村エアマー集落の村長イ・リル・クヌルさんは、ゾウの健康を祈る行事はゾウに対する至れり尽くせりのもてなしの現われとして、ゾウを癒す行事とも呼ばれていると述べ、次のように語りました。

(テープ)

「行事のお供え物は米、ご飯、ロウソク、地酒、および重さ約30キロのブタです。ブタを屠殺したあと、 ゾウの頭にはブタの血を塗ってお供え物を置きます。これは、ゾウに対する飼い主の愛情を示すためです」

(テープ)現場のドラの音

行事で村の祈祷師は神様と先祖を祀る儀式を行い、ゾウの健康を祈ります。それと同時に、村人はドラの演奏と合わせて、踊りをします。神様と先祖を祀る儀式のあと、祈祷師はゾウの頭にブタの血を塗ってお供え物を置きます。そして、銅製のネックレスをゾウ使いにかけてゾウ使いにも料理を食べさせて、ゾウ使いの健康も祈ります。これは、ゾウ使いが健康でゾウの世話を続けられることを意味します。その後は、村人はお酒を飲みながら、ドラの演奏を楽しみます。

ゾウの健康を祈る行事はゾウに感謝の気持ちを示すとともに、村人のつながりと団結を強くするチャンスでもあります。クロンナ村のドラグループの担当者イ・コム・ホウィンさんは次のように語りました。

(テープ)

「村の行事に貢献することができてうれしく思います。これからもゾウの健康を祈る行事、およびゾウの飼育を維持・発展できるよう貢献したいです」

テイグエン地方のゾウに関する独特な文化 - ảnh 3お酒を飲みながら、ゾウの健康を祈る行事を楽しんでいる村人

ゾウの健康を祈る行事のほか、ゾウに関する祭りや行事の中で1番大規模な物は、春にダクラク省で行われるゾウ祭りです。2年に1回行われるゾウ祭りは少数民族の狩りの技術や勇敢さを見せるための伝統行事です。野生の象も多いヨックドン国立公園や周辺の村などから、自慢の象が集まります。ゾウ祭りでは、ゾウのレースやゾウのダンス、重量物の運搬ショー、川渡り競争などいろいろありますが、ゾウ達のサッカーの試合が最も人気があるそうです。

ゾウの健康を祈る行事やゾウ祭りなどは観光客を引き付けるものなので、ゾウに関する文化の発展は地元の観光開発と住民の収入増加につながっていると言えます。そのため、地元の行政府と住民は、ゾウの保護、およびゾウに関する文化の維持と発展に力を入れています。クロンナ村ドランフォック集落に暮らすイ・テ・ブクロンさんは次のように語りました。

(テープ)

「社会が発展しているにもかかわらず、我が民族の独特な文化を守らなければなりません。昔から伝わる風俗習慣や行事、祭りを維持しなければなりません。現在、クロンナ村は伝統的な行事や祭りの維持と観光開発を両立させています。これは何よりです」

今年の2月、ダクラク省は観光客向けの「ゾウ乗りツアー」サービスを終了しました。今後はゾウを見学したり、ゾウと写真を撮ったり、ゾウに餌をやったりするサービスに切り替えるとしています。この動きはダクラク省人民委員会によるゾウの保護を目的とした2026年までの観光事業におけるゾウ乗りサービス終了へのロードマップに従ったもので、「ゾウに優しい観光モデル」への転換を目指します。

ところで、日本とベトナムは、江戸時代にゾウで関係がありました。1728年、オスとメス2頭の象は、徳川の8代将軍、吉宗に献上するため、ベトナムから長崎に連れてこられました。メスは長崎に到着後、3ヶ月で死亡しましたが、オスは陸路で長崎から江戸に向かって歩き、約2か月で江戸に着いたそうです。長崎から江戸までのゾウの旅は大人気となったそうです。

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