ソンラ省のタイ族 伝統文化の保存に取り組む

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(VOVWORLD) - 「タイ族はベトナムの全民族の中で豊かな伝統文化を誇る民族であり続けますように」という願望の下、ソンラ省ソンラ市ボ村に暮らすホアン・ティ・マイさんと夫のクアン・バン・ハックさんは長年、タイ族ならではの伝統文化の保存に力を入れています。この夫婦はソンラ省の伝統文化保存事業の模範となっています。
ソンラ省のタイ族 伝統文化の保存に取り組む - ảnh 1マイさんの指導で伝統的な踊りを練習中の女性たち

2019年の国勢調査によりますと、少数民族タイ族の人口は180万人以上で、人口が2番目に多い少数民族です。ハノイから西北へ300キロ以上離れたところにあるソンラ省の人口は約130万人ですが、タイ族はソンラ省の人口の54%を占める最も多い民族です。そのため、ソンラ省はタイ族の民謡や踊りを始め、伝統文化を守ることを重要な任務の一つと見なしています。過去10年以上、伝統文化を守る運動が同省全体に広がっており、ホアン・ティ・マイさんの夫婦はこの運動の先頭に立っています。

(テープ)現場の音

お聞きいただいているのはマイさんが子どもと孫に教えているタイ族の民謡です。マイさんは幼い頃から、タイ族の民謡や踊りなどと一緒に育ってきました。そのため、民謡や踊りは自然に彼女の血となり肉となりました。こうしたマイさんは12歳になる頃には、民謡と踊りが上手なことで知られ、試験を受けずにソンラ省の芸術団に入りました。1989年に定年退職したマイさんはタイ族の民謡や踊りを村人に教えることに専念しています。中でも、タイ族の代表的な踊りである「ソエタイ(Xoe Thai)」に集中しています。

「ソエタイ」は今年1月に、フランスのパリで開かれたユネスコ=国連教育科学文化機関の第16回政府間委員会で無形文化遺産として認定されました。ソエタイはユネスコにより無形文化遺産として認定されたベトナムの14番目の無形文化遺産となりました。ユネスコは「ソエタイはタイ族の世界観や宇宙観を反映しており、旧正月テトや祭り、慶事などの機会に演じられる。また、年齢や性別、社会的な地位、職業、民族などの区別なく、全ての人に開かれている」と評価しました。マイさんは、「ソエタイはタイ族の人々の労働の中から生まれ、タイ族の人々にとって毎日食べるご飯や水のように親しみやすいもので、幾世代ものタイ族の人々が維持、保存してきたものであるので、どうしても守らなければならない」という決意をもって、ボ村のすべての家を回って、ソエタイを始めタイ族の伝統芸能に詳しい人に相談し、ボ村の伝統芸能グループの設立を説得しました。マイさんの話です。

(テープ  )

「村の初めての伝統芸能グループのメンバーはわずか6人でしたが、2005年に、村を訪れる観光客が多くなったことを受け、女性のグループと青年のグループの2つのグループに分けました。現在は、高齢者のグループを含め、合計で5つのグループがあります。これらのグループは村人に「マイおばあちゃんの文芸団」と呼ばれていて、私は大変うれしいですよ」

マイさんによりますと、ソエタイはタイ族の人々の生活に欠かせない一部となっており、タイ族のすべての祭りや宗教行事で上演されています。ソエタイが上演されると仕事が順調に進むようになり、人との関係がより親しくなると信じられています。実際、ボ村でソエタイを始め、伝統文芸が復活してくると観光客が増え、次第に村人の収入が増加していきました。マイさんは次のように語りました。

(テープ) 

「伝統文芸が頻繁に披露されるようになると、ボ村の知名度が上がり多くの観光客が訪れるようになりました。これにより、地元の行政府は、村の電線や道路などの整備をしてくれました。村人の収入もかなり増えてきました。これは、村の伝統文芸運動による成果であると言われています」

ソンラ省のタイ族 伝統文化の保存に取り組む - ảnh 2ハックさんの教室

一方、マイさんの夫のクアン・バン・ハックさんはタイ族の古い文字を教える教室を開くことで知られており、村人に「ハック先生」と呼ばれています。彼の教室の生徒は最初、わずか数人でしたが、100人を超えた現在、年齢によって2つの教室に分けられています。その中で、最年長者は60歳以上、最年少者は7歳です。ハックさんの話です。

(テープ)

「私は自分でカリキュラムを作りました。教室は週2回、3か月間行われます。教室が終わる前に、生徒を表彰する式を行います。教室に参加した人は皆、タイ族の古い文字を読み書きできるようになりました。私はより多くの教室を開こうと思っています」

マイさんとハックさんの取り組みにより、ボ村の多くの人々は、ソエタイを踊れるようになり、古い文字の読み書きもできるようになりました。村人の一人ル・クイン・フォンさんは次のように語りました。

(テープ)

「我が民族の言葉をしゃべれるし、古い文字を読み書きできることを誇りにしています。我が民族の美しい文化を教えてくれたハックさんとマイさんに感謝の言葉を述べたいと思います。これからも、伝統文化をいつまでも保つために頑張ります」

今年の4月に、ハックさんとマイさんは少数民族の代表として国家主席との集いに参加しました。これは夫婦にとっての栄光であり、彼らの取り組みに対する国の表彰でもあります。ハックさんは次のように語りました。

(テープ)

「ハノイに行って党と国家の指導者らとお会いできることは思いがけないことです。指導者らは、『いつも、我が民族の伝統文化を誇りにし、我が民族ならではの生活を送ってください」と言ってくれました。その教えが腑に落ちました。私は我が民族の伝統文化をできる限り保ちたいと思います」

ソンラ省は、ハックさんとマイさんの暮らすボ村での取り組みを模範として、タイ族の伝統文化の保存と開発事業を他の村で展開する計画があります。こうした取り組みにより、タイ族の人々が伝統的な民謡や踊りを夢中で披露する風景があちこちで見られることでしょう。

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