ベトナムの旧正月テト

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(VOVWORLD) - リスナーの皆さん、今日は旧暦の元日です。新年あけましておめでとうございます。皆さんのご健康とご繁栄を心からお祈り申し上げます。
 先ごろ、国連総会の2023年最後の会議で、旧正月テトを国連の祝日とする決議が採択しされたことを受け、ベトナム国民は高揚した気持ちでテトを迎えています。2024年を目前に国連総会でこのような決議が採択されたことは、旧暦新年を1年で最も重要な祝日と捉える世界約20億の人々にとっても嬉しい知らせとなっています。

今日のこの時間は「旧正月テト・ベトナム文化のソフトパワー」をテーマとした特別番組をお送りします。

2023年12月22日に開かれた第78回国連総会は旧正月を国連の祝日とする決議を全会一致で採決しました。

決議では、旧正月は国連に加盟する多くの国で祝日となっていることから、旧暦の元日には会議を行わないよう国連各機関に勧告しています。これに関し、VOV=ベトナムの声放送局の記者は在ベトナム国連のコーディネーターポーリン・タメシス氏にインタービューしました。

記者:国連のこの決議はどのような変化をもたらすのか教えてください。

(テープ)

ベトナムの旧正月テト - ảnh 1タメシス氏     写真提供:UN

「この決議は国連の各機関、特に、国連本部や旧正月テトを祝う国に駐在する事務所に対し、旧正月を祝う期間中に会議やシンポジウムなどの手配に配慮し、開催を避けるよう勧告します。旧正月が正式に国連の休日となったことは、国連機関に勤めている職員の文化的多様性を顕彰することが狙いです。国連での豊かな文化と伝統を尊重し、受け入れることは世界のさまざまな文明の交流、および各国の相互理解と協力を力強く促進するでしょう」

記者:この決議は将来、世界における文明の多様性の尊重をさらに促進するための取り組みをスタートさせるものとなるのでしょうか?

(テープ)

「旧正月を国連の祝日とする決議の採択はグローバルコミュニティを構成する様々な文化の認定、称賛に向けての重要な一歩となっています。文化的多様性を受け入れるのはいくつかの特別な祝日を認めるだけでなく、この多様性を国連の行動や政策に取り入れる必要があります」

記者: 国連のこの決定に導く要素にはベトナムの旧正月テトがあります。ベトナムのテトについてどう思いますか?

 「ベトナムの伝統的お正月テトを楽しむのは今回が2回目です。テトが単なる祭りだけでなく、ベトナム人にとって神聖なものであり、ベトナムの伝統文化に深く根を下ろしたものであることを実感しています。テトは、家族が団らんしながら、旧い年を振り返り、新しい年に期待をかけるチャンスです。様々な面から見れば、テトによって代表される価値は我々が尊重している我が国の文化価値と似ています。これらは、家族の重要性や、親孝行、祖先と高齢者に対する敬愛などです。人間の根源に関する深い意識でもあります。これはベトナム人の特徴だと思います。新年あけましておめでとうございます!」

記者:どうもありがとうございます!                                    

ベトナムの旧正月テト - ảnh 2マックスさん 写真提供:hanoimoi.vn 

今日、ベトナムに住む多くの外国人は、国連常駐調整官兼ベトナム国連機関首席代表のポーリン・タメシス女史のように、「新年あけましておめでとうございます」とあいさつします。これは、外国人もベトナム人のようにテトを楽しんでいることを表しています。特に、アメリカの有名なブロガーのマックス・マクファーリンさんはベトナム人のテトを紹介するビデオクリップを作成しました。マックス・マクファーリンさんにとって、ベトナム風チマキ「バインチュン」のほか、キンカンの木や、豚肉と卵蒸し煮はテトの欠かせないおせち料理です。そして、テト用品を並ぶためのテーブルについて、マックス・マクファーリンさんは次のように紹介しています。

「真ん中にはビスケットとキャンディの皿を、そのそばには五色の果物の大皿(Mam ngu qua)を置きます。手慣れているわけではありませんので、簡単に準備し、祖先に供養します。新しい年の好運を祈願します」

また、マックス・マクファーリンさんによりますと、テトに欠かせないものはもう一つあります。これは高齢者にお年玉をあげることだとしています。

一方、ベルギーの首都ブリュッセルのフランス語テレビ局はウォルウェ・セイント・ピエール在留ベトナム人がテトを迎える雰囲気を紹介する番組を放映しました。制作チームによりますと、ベトナム人全員で「新年あけましておめでとうございます」と言っています。この番組で、ベトナムのテトに関する文化が詳しく紹介されました。

 「ベトナムの新年のもう一つのシンボルはザボンですね。すべての家庭にはザボンが用意されます。そして、テトらしい雰囲気を作り出すため、ベトナムから持ってきた対連(ついれん)も欠かせないものです」

日本のNHKも中標津在留ベトナム人のテトの様子を紹介しました。中標津に派遣されているベトナム人実習生は地元住民とともにベトナムの伝統的料理を作っている様子です。

 2023年12月末にも、NHKはベトナムに関する4回シリーズの番組を制作し、放映しました。この番組では、ベトナム語や、ベトナムの旧正月テト、ベトナムの文化を中心にしました。これを通じて、日本人はベトナムのテトに関する理解を深めることなできます。
ベトナムの旧正月テト - ảnh 3写真提供:quochoi.vn

ベトナム独特のテトの価値は国連の決定や、外国人の評価、外国の報道機関の番組を通じ表現されています。その中で、民族色豊かな文化や、団結精神、よき伝統を持つ穏やかなベトナムの姿が伝えられています。これはベトナムの開発事業に貢献するソフトパワーでもあると評価されています。これに関し、国会文化・教育委員会の委員であるブイ・ホアイ・ソン教授・博士をインタビューしました。

記者:ベトナムのテトの価値はベトナム文化の美しさを世界に紹介することに大きく貢献しているといえるでしょうか?

(テープ)
 「テトは民族文化の力です。というのは、その背後には、コミュニティの連帯と伝統的文化価値の顕彰を含む世界観、人生観、宇宙観を示しているからです。国際社会がベトナムのテトの価値を高く評価していることに誇りをもっています。国際統合の過程において、ベトナムはグローバル化の波に流されることなく、民族文化の独特な色彩を保っています。それらを踏まえて、文化をはじめあらゆる分野で開発を促進するための独自のメリットをもたらすと思っています」

記者:独自のメリットについて、詳しくご説明していただけませんか?

(テープ)
 「世界へ参入する過程において、文化に関する価値観を理解することは、ベトナムのユニークな経済・文化製品を生み出すことに役立つことを望んでいます。これらは、独自のメリットであると思っています」

記者:テトの価値を含め、ベトナムの文化価値を発揮するために、何をする必要があるでしょうか?

(テープ)
 「2005 年、ユネスコの文化的表現の多様性の保護及び促進に関する条約が採択されました。その中には、文化に関わる国家主権の保護を目指し、各国に対し文化価値を保護するよう奨励しています。領土と領海に関わる国家主権に加えて、文化に関わる国家主権は、国の独立・領土保全を確保するための重要な要素の一つです。そのためにも、民族の文化的アイデンティティにさらに関心を寄せる必要があると思っています。第1は、国内だけでなく国際的な場においてもベトナムの伝統的お正月テトの重要性に対する認識を向上させること。第2は、テトの価値を顕彰する措置を講じること、第3は、良いものをさらに広めるためにテトのために芸術的な文化製品をより多く作り出すことです」

記者:どうも、ありがとうございます。

テトは、ベトナムの伝統文化の「美」が集まり、ベトナム文化を世界の文化地図に位置づけることに貢献しています。また、テトは、ベトナム人が自信を持って国際社会に統合し、開発事業を促進していくためのソフトパワーにもなっていると言えます。

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