ビンファスト ベトナムの自動車産業に奇跡を起こす

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(VOVWORLD) - 2019年6月17日に、ベトナム初の自動車メーカー「(VinFast)ビンファスト」が初の販売車種である「Fadil」のデリバリーを開始しました。このことはベトナムの自動車産業にとって歴史的な節目となり、「ベトナム製の自動車」という夢が実現したことを示しています。
2017年9月2日、ベトナムの複合企業であるビングループが、自動車製造業に参入し、製造子会社「ビンファスト」を設立することを発表し、ハイフォン市ディンブー・カットハイ経済区において自動車製造工場の建設に着工しました。当時は自動車産業で経験が全くないビンファストの成功を疑う声が相次ぎました。しかし、わずか1年半後の2019年3月6日に、ビンファストは、スポーツ用多目的車SUV「LuxSA2.0」の第一号車の市場デビューを果たし、その3か月後には、ビンファストの自動車が顧客の元に届けられました。また、ビンファストの自動車製造工場は着工から本格稼働まで、その間わずか21か月しかかかりませんでした。これは、ベトナムの自動車産業はもちろん、世界の自動車産業にとっても奇跡であり、国内外を驚かせました。
ビンファスト  ベトナムの自動車産業に奇跡を起こす - ảnh 1ビンファストの自動車製造工場の落成式で発表している当時のフック首相

2019年6月14日に行われたビンファストの自動車製造工場の落成式で、当時のグエン・スアン・フック首相は次のように語りました。

(テープ)

「当初は100年以上の歴史があって競争が非常に激しい世界の自動車産業に入る新入りのビンファストの真の目的を疑う声、ビンファストが直面するであろうリスクと困難を心配する声が多く聞かれました。実は、ベトナムは長年、自動車産業の構築に取り組んできましたが、成果を収めるまでには至っていませんでした。しかし、本日、ビンファストの自動車製造工場が誕生したことはそれらの疑問の払拭に役立っています」

このように語ったフック首相はまた、約1億人の人口を擁するベトナムでは当時1000人あたりの自動車所有台数はわずか21台であるが、中間層が急増しているので、自動車産業が非常に有望な市場となる可能性を秘めていると明らかにし、ビンファストが「ベトナム製の自動車」という夢の実現に大きく貢献するであろうとの確信を表明しました。

実際、ビンファストの小型車「Fadil」は2019年6月に発売されて以来、月間ベストセラーとして、何度もトップテンに入っています。また、ビンファストのセダン「Lux A2.0」も数回にわたり月間ベストセラーのトップテンに入りました。ガソリン車だけでなく、EV電気自動車の製造にも力を入れ、2021年3月24日に、初のEV車である「VFe34」という車の予約の受けつけを始めました。発売開始からわずか12時間後には3692件の注文を受け、ベトナムの自動車産業の記録を作りました。2021年12月25日に、初の「VFe34」が顧客に引き渡されました。この日はベトナムの自動車産業にとって新たな節目となりました。電気自動車を製造できる国は少ないからです。

そして、2022年1月、ビンファストは年末までにガソリン車の生産を中止し、EV電気自動車の生産に特化する方針を表明しました。その6か月後の7月初め、ガソリン車の新規注文の受付を停止しました。既に受け付けた注文はガソリン車の生産ラインを閉鎖する前に引き渡されるとしています。

世界の有力な電気自動車メーカーを目指すビンファストは国内市場だけでなく、アメリカやヨーロッパへの進出を進めています。今年6月、ビンファスト(VinFast)は、ドイツとフランス、オランダで、ショールーム兼サービスセンターの「ビンファスト・ストア(VinFast Store)」計50か所を開設する計画を明らかにしました。国別では、ドイツが25店舗、フランスが20店舗、オランダが5店舗となります。

ビンファスト  ベトナムの自動車産業に奇跡を起こす - ảnh 2米国ノースカロライナ州でのビンファストの電気自動車製造工場の建設に関するMOUの調印式

特に、ビンファストはアメリカを主要な市場と見なしており、アメリカの年間新車販売台数の1%を占める16万から18万台の電気自動車を販売するという目標を打ち出しています。こうした野心的な目標を実現させるため、今年の3月に米国ノースカロライナ州に電気自動車の製造工場を建設すると発表しました。同社は、北米初の自動車組み立ておよびバッテリー製造工場の拠点としてノースカロライナ州に進出し、7500人を雇用する予定です。投資額は最大20億ドルで、初めて自動車生産会社を迎え入れる同州にとって史上最大の経済開発となります。ビンファストのこのプロジェクトはバイデン政権に歓迎されています。アメリカのジェニファー・マルハーン・グランホルム エネルギー長官は次のように語りました。

(テープ)

「ビンファストは、企業が巨額の投資を通じてクリーンエネルギー経済の構築を目指すバイデン大統領の取り組みに貢献する最新の一例です。ビンファストはこの取り組みに参加する最後の企業ではないはずです。アメリカを投資先に選び、アメリカ人を雇用し、アメリカの『エネルギー自立政策』に寄与するビンファストに感謝の言葉を述べたいと思います」

自動車業界は排他的な業界で、めったに新参者の参入を許しません。とくに電気自動車市場への進出は多くの場合、「ポールスター」のように定評ある自動車メーカーの傘下にあるブランドだけです。ベトナム初の自動車メーカー「ビンファスト」はこの狭き門に挑もうとしていますが、困難を乗り越えて成功し、ベトナムの自動車産業のけん引役となることが期待されています。

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