黒タイ族の家の屋根につけられるシンボル「Khau cut」とは

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(VOVWORLD) - このシンボルは、黒タイ族同士が互いにわかるとともに、民族のルーツをいつも思い出すためのものです。

ベトナム北西部山岳地帯に居住している少数民族黒タイ族の家は高床式の家です。この家の特徴は、屋根の切妻の上に「カウクット(Khau cut)」というシンボルが付けられていることです。このシンボルは、黒タイ族同士が互いにわかるとともに、民族のルーツをいつも思い出すためのものです。

黒タイ族の家の屋根につけられるシンボル「Khau cut」とは - ảnh 1屋根の切妻の上にあるカウクット 

歴史研究者によりますと、「カウクット」は、黒タイ族が11世紀に南方へ移住したことをきっかけに生まれたものです。現在の中国雲南省から移住する前に、黒タイ族の人々は、どこに住んでいても、同じ黒タイ族同士であることを知るために、家の屋根にカウクットをつけると約束し合ったという伝説があります。

カウクットは種類がたくさんありますが、長さ1.5~2メートル、幅10センチから30センチの竹製あるいは木材の棒2本が交差し、その上には様々な彫刻や模様が施されます。その中で一番簡単なカウクットは、何の彫刻や模様を施さずに、交差した竹製の棒2本からなるものです。その他、水牛の角や三日月形、花、葉っぱなどの彫刻や模様が施されるものがあります。その中で最も多いカウクットは、「ボ(Bo)」と呼ばれる野菜の葉っぱの模様が施されるものです。黒タイ族の文化研究者ロ・トゥイェン・ズンさんは次のように話しました。

(テープ)

「ボという野菜の葉っぱの模様が施されるカウクットは猛烈な活力の現われです。この野菜は陸生のものですが、水の中でも生きられます。猛烈な活力があるのですべての環境に対応できる野菜ですから、この野菜の葉っぱの模様が施されるカウクットを選ぶ人が多いです。」

黒タイ族の家の屋根につけられるシンボル「Khau cut」とは - ảnh 2

カウクットを見るだけで、その家族はどの階級に属するかすぐわかります。庶民的な家族は、彫刻や模様が施されない一番簡単なカウクットの他、水牛の角や三日月形をしたカウクットを使うことが一般的です。一方、中間層の家族は、花や野菜の葉の模様が施されるカウクットなどをよく使っています。カウクットに彫刻や模様が多ければ多いほど、その家族の豊かさが示されます。カウクットの中で最も珍しいものは「カウクットカム(Khau cut Cam)」です。このカウクットは、貴重な木材で作られ、精緻に彫刻された花の模様が施されたほか、権力の象徴である2本の剣の形をしたマークもあります。そのため、「カウクットカム」は、村で権力と権威を持つ家族の家にしかつけられません。

しかし、カウクットは様々な種類があってそれぞれがその家族の特徴を示すものであるものの、黒タイ族同士のアイデンティティの一つです。イエンバイ省ギアロ町チュンタム地区に住む黒タイ族の文化研究者ロ・ヴァン・ビエンさんは次のように話しました。

(テープ)

「屋根にカウクットがあることは黒タイ族同士の家だとすぐわかります。名字や出身地が異なっても、同じく黒タイ族同士ですから、馴染みの感じがしますよ」

こうした「カウクット」は深い意味を持っているにもかかわらず、現在はこのシンボルを屋根につける高床式の家は少なくなっています。そのため、この伝統を守ることは差し迫った課題となっています。先ほどの文化研究者ビエンさんとズンさんは次のように話しました。

(テープ)

「カウクットが作れる人に、自分の家につけてほしいです。ほかの村人の模範になるから。」

「カウクットは黒タイ族ならではの文化なので、その伝統文化を守るという人々の意識を高めたいと思います。」

ビエンさんとズンさんのこの願望は現実になり、黒タイ族のカウクットがきちんと保たれると期待されています。

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