ソアット中将

ベトナムの人民英雄であるグエン・ドウック・ソアット中将は、ベトナム空軍の伝説の人物の一人として知られています。主に戦闘機ミグ21型機を操縦していたソアットさんは、ベトナムで最も射撃の上手いパイロットでした。かつての戦争中に、彼はアメリカ軍の戦闘機6機を撃墜したことにより、ベトナム空軍のエースパイロットに選ばれました。

さて、ソアットさんが、ベトナム空軍への入隊から 8 か月後に日記に記録した最初の感想をお聴きください。

（テープ）

「親愛なる青い空よ！あなたとの愛をほかの誰かと比較できますか？いいえ、そんなことはできないです！私にとってあなたは全てです。これからも、あなたは軍隊生活において永遠に僕とともに歩む仲間です」

ソアット中将の日記

入隊当時20 歳の若さだった兵士のソアットさんは、「どうすれば一生飛び続けることができるか。健康がそれを許さなくなるまで飛びたい」といつも願っていました。これらは、ソアットさんの夢であり、願望であり、目標でもあったそうです。

（テープ）

「当時、19歳か20歳だった僕がそんなふうに執筆できたのは、空をとても愛していたからです。その後の平和な時代にも、故郷の空がいつも平穏であるよう願っています。37年間にわたる空を守る任務で、空と親密になり、空をいつも近くに感じています」

ソアットさんは1946年に生まれ、1965年7月に19歳になると入隊しました。同年に、彼はベトナムの59人の学生とともに旧ソ連製のミグ21戦闘機の操縦を学ぶため、旧ソ連に派遣されました。2年後に帰国した直後、ソアットさんたちは、抗米救国闘争時期の祖国防衛事業に参加しました。1969年、ソアットさんは、アメリカ空軍の無人航空機を撃墜し、最初の戦功を立てました。ソアットさんにとって1972年は、特に忘れがたい年のようです。

彼は次のように思い出を語っています。

（テープ）

「1972年5月23日に、私はアメリカ軍の有人飛行機に出くわしました。このフライトでは離陸から着陸までわずか15分で、アメリカ軍の攻撃機A7コルセアIIを撃墜しました。その1か月後の6月24日に、私と一人の同僚は、編隊を組んだ24機のF-4戦闘機を攻撃して、編隊を分散させ、それぞれ１機の戦闘機を撃墜しました。続いて同月６月27日、他の作戦に参加し、戦闘機Ｆ-４型機1機を撃墜しました。そして、8月26日に、アメリカ海兵隊の飛行機を撃墜しました。これは、ベトナム戦争中に撃墜されたアメリカ海兵隊の唯一の飛行機でした」

1972年10月12日に、ソアットさんは、６番目のアメリカ軍の飛行機を撃墜しました。1972年12月18日に、アメリカ軍はベトナム北部への継続的な空爆作戦・ラインバッカーII作戦を行ないました。この作戦では、アメリカ軍国はボーイング B-52 ストラトフォートレスの最大級戦略爆撃機を動員し、首都ハノイ、ハイフォン市、タイ グエン省、ランソン省などを標的に、 12 日間連続して爆弾を投下しました。これらはベトナム戦争で最も激しい爆撃であり、戦争の歴史の中で最も激しい襲撃の一つでした。

当時、ソアットさんと同僚たちは、12日間にわたって首都ハノイを守るために、勇敢に戦っていました。

（テープ）

「ダフック空港のトンネル坑門に立って、首都ハノイの方向を眺めると、ロケットが夜空に打ち上げられ、炎が上がり、地上の人々を気の毒に思いました。B5２爆撃機の場合、仮に１機に およそ120個の爆弾を搭載したとしたら、3機だけで、約２平方キロメートルの国土に爆弾を投下でき、何もさえぎるものがないので、損失がどの程度になるかはわかりません。ですから、私たちは、どうすれば飛行機が標的に近づかないように、自国民に爆弾が落ちないようにするかを必死に考えていました。それが当時の私たちの戦意であり、誰も自分のことを考えていませんでした」

この１２日間で、アメリカ軍は３万６０００トンの爆弾を投下しました。これほどそんな激しい戦闘の中で、勇敢な精神と祖国の空域を守る決意を持って、ソアットさんと同僚は、アメリカの近代的な空軍と決死の覚悟で戦っていました。

（テープ）

「この作戦の初日の夜に、アメリカ軍は、ベトナム空軍の離陸を阻止するために、 6 から 7 か所の飛行場を爆撃しました。私たちは、全長約16mしかない誘導路に離陸しなければなりませんでした。両側には爆弾のクレーターがあり、少しずれただけでも事故につながります。その日の戦闘はとても激しく。私たちは編隊を組んだ16機のF-4型機に出くわしました。私たちの飛行機に近づくと、その中の幾つかのアメリカの爆撃機が爆弾を投下するとともに、私たちと一緒に空を飛び回りました。私たちの目標は、敵を倒すことができない場合、敵の飛行機が私たちのミサイル発射台に当たらないように追い払うことです。12 日間で、私たちは 1 機の B52型機を含む各種の飛行機を撃墜しました」

戦闘に参加して、優れた戦功を収めてきたソアットさんは、1973年の27歳の時に、「人民武装英雄」という称号を授与されました。

 44 年間にわたる軍務で、ソアットさんはベトナム空軍の最も射撃の上手いパイロットになりました。彼は、空軍司令官、防空空軍司令官、ベトナム人民軍副参謀総長などの職務を歴任し、いかなる職務でも、任務を立派に果たしました。