春の祭り

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(VOVWORLD) - ベトナム人は誰もが春の祭りを民族の文化の一部としてだけでなく、自分たちの精神生活に欠かせない存在と見なしています。

ベトナムでは、「春は祭りのシーズン」だとよく言われています。春の祭りは、畑仕事を休んで楽しいひと時を過ごすと共に、一年の豊作と幸運を祈るための時期です。今年は新型コロナの影響で春祭りの多くが控えられるか、普通より小規模で行われる可能性がありますが、ベトナム人は誰もが春の祭りを民族の文化の一部としてだけでなく、自分たちの精神生活に欠かせない存在と見なしています。

春の祭り - ảnh 12019年のチャン神社祭り

ベトナム文化スポーツ観光省の2009年の統計によりますと、ベトナムには8000もの大小さまざまな祭りがありますが、その大部分が春に行われます。春は一年の初めですから、初春の祭りで、ご先祖さまへの感謝の気持ちを表わしたり、その年の幸せを祈願するというのもあります。その意味で、ベトナム人には、春は縁起がいいというような考えがあります。ベトナム民間文芸協会の副会長チャン・フウ・ソン博士は次のように語りました。

(テープ)

「春の祭りは一年の中で最初のイベントですから、人間はすべての祈願や希望を春の祭りに持っていきます。また、春の祭りで、皆さんは自分のルーツに戻ってきたような気がして、民族のアイデンティティをより深く理解することができます。そして、春の祭りは、人と人とのつながりを強くして、コミュニティの強化に役立ちます。さらに、新年ですから、皆は新しいことや最も良いこと、最も美しいものを望んでいるので、その気持ちは春の祭りの雰囲気を作り出します。」

お祭りはまず宗教的な要素があって、次に人々の娯楽という面があります。ベトナムの祭りは、5つの種類に分けられます。農業関連の祭り、婚礼や信仰に関する祭り、民謡など文化・娯楽に関連する祭り、技能などを競い合う祭り、歴史的人物をたたえる祭りの5つです。

長年にわたって多くの有名な祭りが昔のまま維持されています。例えば、北部フート省におけるフン王神社の祭り、ハノイ市のコーロア祭り、フードン祭り、バクニン省のドンキー祭り、リム祭り、ハイズオン省のキエップバク神社祭り、タイビン省のケオ寺祭りなどです。その中で、タイビン省のケオ寺祭りは旧暦の1月4日に行われるので、北部の春祭りシーズンの幕開けとなります。ケオ寺祭りでは、仏を供養する儀式の他に、かえる獲り大会、料理大会、爆竹投げ大会という3つの催し物が行われます。

それぞれのお祭りには、意味があります。例えば、ベトナム北部にあるハナム省で行われるティック・ディエン・ドイ・ソン( Tich dien Doi Son) 祭りでは、地元の人たちが「耕し初め」をします。その年に初めて、土を耕すということです。10世紀から行われてきたこの祭りは、農業を奨励、すすめるという意味を持っています。

春の祭り - ảnh 22020年のフォン寺祭り

一方、ハノイ郊外にあるフードン寺院とソック寺院で行われているゾン祭りは、英雄のゾンを偲ぶためのものです。ゾン祭りは、北方からの侵略を防いだゾンの英雄伝説を祭礼化したものといえます。歳月が経つにつれて、こうした春の祭りは、現地住民の生活の中に重要な位置を持つようになっています。

そして、多民族国家であるベトナムは各民族の豊かな文化を誇っており、その中で、それぞれの民族は多くの独特な春祭りを行っています。例えば、北部山岳地帯のハーザン省に住む少数民族モン族の独特な春祭りであるガウタオ(GauTao)祭りは笛の音と歌声で有名です。笛の音と歌声は健康と豊年満作を祈っています。この祭りでは、民間遊戯、歌垣など様々な活動も行われます。

一方、少数民族パテン(PaThen)族の伝統的な火渡り祭りは唯一の祭りと言われています。この祭りは、豊作を与えてくれた神様に感謝することが目的です。この火渡り祭りでは祈祷師が唱える歌の内容は、悪魔を追い払うためのもので、儀式の後、参加者は、熱い炭を敷き詰めた上を歩いて渡ります。火の上を渡る時間の長さは神様から与えた力によって左右されると言われています。

文化と発展センターのバン・トゥアン・ナン博士は次のように語りました。

(テープ)

「54民族が共に住んでいるベトナムは54の「文化の倉庫」があると言えます。そのため、8000以上の祭りがあるとよく言われていますが、実際はそれ以上だと思います。これからの重要な課題は、これらの祭りを保存・開発することです。」

それぞれの祭りは、それぞれの民族の風俗習慣、信仰、労働生産とつながっています。春祭りを始め、伝統的な祭りの保存と発展は、ベトナム文化の多様性と豊富に寄与することでしょう。

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