新年に長寿を祝う習慣

Chia sẻ
(VOVWORLD) - ベトナムでは新春に各家庭で祖父母や両親の長寿を祝う習慣があります。長寿のお祝いは、両親と祖父母への尊敬と関心を示すものであり、親孝行の表れでもあります。
新年に長寿を祝う習慣 - ảnh 1長寿のお祝い

ベトナムでは満60歳以上を高齢者と定義しています。統計総局によりますと、ベトナムは2015年に高齢化社会に突入し、急速に高齢化が進んでいるとしています。現在、ベトナムの60歳以上の高齢者は約1140万人で、総人口の11.86%を占めています。高齢者人口の割合(高齢化率)は2050年に28%にのぼると予測されています。高齢化が進むことで大きな問題となるのが経済成長と社会保障制度であると言われていますが、一方、依然として高齢者を尊重する伝統は保たれたままであると見られます。これは昔から伝わる一つの文化であり、ベトナムには「水を飲む時には、井戸を掘った人を思う」ということわざがありますが、このような美徳を背景ににしています。

実際、ベトナムでは高齢者に対し社会は特別な関心を払っています。高齢者の社会保障の権利は憲法に規定され、高齢者法が2010年7月1日に施行されています。同法では、高齢者に対する政策が包括的に制度化され、高齢者の社会活動への参加を保証するとともに、高齢者のケアと役割向上に対する組織や個人の関心を奨励しています。

一方、それぞれの地区・村・家庭でも、高齢者を大切にする活動が頻繁に行われており、新年に長寿をお祝いする習慣はその例の一つです。

(テープ)現場の音

ハノイ郊外のタインワイ県カオズオン村ティグエン集落の拡声器が、間もなく長寿を祝う式が村の集会所で行われることを通知しています。村の音楽隊と獅子舞グループは長寿のお祝いを受ける高齢者の家を回って村の集会所まで送り届けました。高齢者の家族のほか、村人全員も集会所に集まりました。8時半に長寿を祝う式が温かい雰囲気の中で行われました。

(テープ)

「今年で80歳になり、国から長寿のお祝いを頂きました。天のお陰でこんなに長生きできてとても感謝しています。かつてはこんな大規模な長寿のお祝いはありませんでした」

「長寿は天が授けてくれるものです。姉は今年、100歳で私より2年上です。姉妹が4人いますが、残っているのは3人だけです」

「子孫が自分の責任を果たして、学習でよい成績を収め、仕事で活躍するように。それしか望んでいません」

「今日、子孫が90歳になる長寿のお祝いをしてくれました。村の人々からもお祝いをたくさんいただきました」

高齢者のいる家庭では、式が行われる数日前に子どもや孫が帰省し、家の大掃除や飾り付けのほか、宴会の調理などの準備をします。この式は高齢者が元気で楽しく過ごせるよう祈るだけでなく、村、一族、家族の人たちが集まってつながりを強くするチャンスでもあります。特に、様々な苦労をして育ててくれた親と祖父母に対する親孝行を示す重要な機会です。

(テープ)

「新年にあたり、お年寄りの皆さんの長寿を祝福します。これからも元気であり続け、子孫と一緒に幸せな生活を送れるようお祈りします」

「今日の長寿のお祝いは親が年を取ってより多くの世話とケアが必要であることを私たちに思い出させてくれました。親が健康で長生きするようにと願っています」

ベトナムでは、長寿の人とその家族は天からの恩恵を受けているとされています。かつて、60歳になると長寿のお祝いをしましたが、現在、寿命が長くなっているため、70歳以上のお年寄りを対象としています。また、この式は家族と親戚のほか、村全体のものでもあります。ハノイ市タインワイ県カオズオン村のグエン・ヴァン・デ祖国戦線委員会委員長は、長寿を祝う式は二十数年前から、村の儀式になったと述べ、次のように語りました。

(テープ)

「長寿を祝う式は村人の負担を軽減するために簡単に行われます。村の神社で神様に報告する式の後、長寿のお祝いをするだけです。これはカオズオン村の文化となっています」

文化研究者のグエン・ギア・ザンさんは、高齢者を大切にするという思いはベトナム人のアイデンティティを作る基盤の一つで、長寿を祝う式はその思いの表れであるとし、次のように語りました。

(テープ)

「長寿を祝う式は70歳、75歳、80歳、85歳、90歳などの高齢者を対象に行われるものです。式で、高齢者は伝統的な衣装を着て、子孫からの祝福を受けますが、前の世代に対する次の世代の謝意を意味します。子孫がどこにいても、必ず帰省して式に参加しなければなりません。これはベトナムの良き伝統です」

長寿の祝いは、多くの地方で家族の文化的習慣となっています。現代社会においても、その様式が多少変わったものの、“高齢者を大切にする”という文化は昔のままです。子や孫たちの感謝の気持ちや、“敬老”という美徳が社会の中に生き続けています。 

ご感想