伝統音楽の保存に取り組んでいるホーチミン市の若者

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(VOVWORLD) - ベトナムでは現在、ポップやラップ、EDMエレクトロニック・ダンス・ミュージックなどの現代的な音楽がブームとなっており、多くの若者を魅了しています。そのため、伝統音楽に興味を持つ若者が減って、衰退の恐れがあります。しかし、ベトナムの最大都市ホーチミン市には、伝統音楽に興味を持ち、保存に取り組んでいる若者たちがいます。
伝統音楽の保存に取り組んでいるホーチミン市の若者 - ảnh 1南部メロディークラブの練習

毎週末、ホーチミン国家大学の寮、あるいはホーチミン市学生文化館で、「ドンカータイトゥー」や「カイルオン」など南部の伝統民謡を熱心に練習している若者たちがいます。彼らは南部メロディークラブのメンバーです。2016年に設立されたこのクラブは、伝統音楽に興味を持つ若者の集まりで、クラブのメンバーの一人ミン・トゥアンさんは次のように語っています。

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「高校時代、ドンカータイトゥーとカイルオンに興味を持ち始めました。友達の紹介により、南部メロディークラブを知って、クラブの活動に何度か参加し、もっと活動したいと思ったので入会を申請しました。クラブに入ってから6年経ちましたが、ドンカータイトゥーとカイルオンがうまくなるにつれて、さらに好きになっています」

南部メロディークラブはその名の通り、南部各地の伝統音楽を練習・普及・講演する活動をしており、中でも、南部を代表する民間芸能として知られる「ドンカータイトゥー」に集中しています。2013年にユネスコ国連教育科学文化機関によって世界の無形文化遺産として認定された「ドンカータイトゥー」は元々、都フエの宮廷雅楽から派生したもののようで、19世紀の終わり頃にベトナム南部で広まりました。この民謡は南部文化のルーツにもなっていると言われています。生活に活気や潤いをもたらすそうです。ドンカータイトゥーを漢字で書くと「琴歌才子」、琴、歌、才能の才、子供の子、と書きます。琴に合わせて歌う才子という意味です。才子はベトナム語で、楽器も歌もできる人という意味になります。ドンカータイトゥは市民が集まり、地面に座って農作業の後などに演奏される場合が多く、プロの音楽家によるパフォーマンスというよりは一般の農民の娯楽芸能の一種であり、人々の生活に密着しています。南部の人達はドンカータイトゥーを歌う時、原曲を歌うのではなく、その時の気分で、替え歌にしてしまうのがこの民謡の特徴です。

南部メロディークラブでは、メンバーらはドンカータイトゥーのベテラン芸人に頼んで、歌い方や楽器を学んだり、定期的に一緒に練習したりします。また、メンバーらはチャンスがあれば、市内のイベントでパフォーマンスをする用意があります。ドンカータイトゥーのほか、伝統歌劇カイルオンもよく練習しています。

現在、クラブのメンバーは60人を超えていますが、その多くは学生です。クラブの活動に必要な費用は全部、メンバーの寄付によるものなので、皆は生活費やバイトの給料を貯ためて、クラブの活動を続けています。それにしても、皆さんの努力はすばらしいです。南部メロディークラブの担当者タイン・チンさんの話です。

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「ステージに立って、ドンカータイトゥーや南部の伝統民謡を歌うと、いつもプライドが刺激されます。南部の伝統民謡は軽快で素朴な音楽ですが、南部の人々の心や想いを含んでいます。「民族の芸術が存在すれば、その国が存在する」という表現が大好きです」

伝統音楽の保存に取り組んでいるホーチミン市の若者 - ảnh 2ホーチミン市経済大学の民謡クラブ

ホーチミン市では、南部メロディークラブのほか、ホーチミン市経済大学の民謡クラブも伝統音楽に対する若者の認識向上においてリードしています。26年前に設立されたこのクラブは伝統民謡に興味を持つホーチミン市経済大学の各世代の学生にとって「家」のような存在です。卒業したあとも、クラブの活動に積極的に参加している学生も少なくありません。一流のアーチストを招いて、学生との交流会を行ったり、学生に民謡などを教えたりすることができるのがクラブの特徴です。同クラブ所属楽器グループの担当者ファム・バン・ミンさんは次のように話しました。

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「クラブの活動は様々で、大勢の学生が参加してくれています。特に、お正月などには、民謡や伝統楽器のほか、書道に関するイベントも行い、学生の間で好評です。これからも、私たちはより多くの学生を誘致するために、有名なアーチストとの交流会や、活動の時間帯を柔軟に増やすなど、クラブを刷新しようとしています」

ホーチミン市経済大学の民謡クラブの副担当者ディン・ティ・キム・ガンさんによりますと、クラブは伝統音楽に興味を持つ学生に、その興味を刺激するための場を作るだけでなく、伝統音楽に対する愛情とその知識を普及させることを目的としています。そのため、クラブのメンバーらは大学のイベントのほか、青年同盟や市・区のイベント、そして、放送局の番組でも披露したり、民謡コンテストに参加し、多くの賞を受賞してきました。ガンさんの話です。

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「演奏会では、常に人々に伝統音楽を理解してもらおう、さらに普及しようとできる限り取り組んでいます。また、伝統音楽を通じて民族精神をアピールできるようにしています」

こうした南部メロディークラブと、ホーチミン市経済大学の民謡クラブは、伝統音楽が多くの若者の心を虜にしていると言えるでしょう。

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