伝統的な紙「ゾー」を作る職業の保存

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(VOVWORLD) - ゾー紙を作る職業の保存は差し迫った課題となっています。

ベトナムの伝統的な紙として最も有名なのは「ゾー(Do)」という紙です。この紙は、ジンチョウゲ科のゾーという木の皮から作られるので、その名になりました。ゾーという紙は、かつては朝廷の公文書や科挙試験の答案用紙などに用いられたほか、伝統的な版画の紙としても親しまれていましたが、現在では、ドンホー版画の紙として以外あまり使われていなのでー、ゾー紙を作る職業の保存は差し迫った課題となっています。

伝統的な紙「ゾー」を作る職業の保存 - ảnh 1 ゾー紙作りに必要な材料

史料によりますと、ゾー紙作りの歴史は3世紀に始まりました。昔、ゾー紙作りは、現在のベトナム北部に広がりましたが、その中で、バクニン省とハノイはゾー紙作りに従事する村が多かったです。ハノイ市内で最も大きな湖「西湖」の周りにあるイエンタイ村とドンサー村は、700年以上前から紙作りで有名でした。ドンサー村には、現在も紙作りの祖を祀る社が残っています。

紙作りの風景は民謡にも歌われております。村に響き渡る杵の音が、多くの芸術家や詩人に影響を与えたと言われています。

ゾー紙作りの工程は非常に複雑で、経験と技が必要です。ゾーの木の皮をむき、水に1日~3日浸します。そして、水を切って皮を短く切り、石灰水に1日浸します。土鍋で一昼夜煮た後、よく洗い、再び石灰水に2、3日浸します。その後、洗って水を切り、男性が石の臼で、杵で叩いて粉にします。粘り気が出るまで叩きます。次に粉を水に入れてかき混ぜ、女性が漉き枠を使って紙を漉きます。漉いた紙を重ねて積み上げ、煉瓦で押して水気を取ります。最後に、専用の炉や物干し竿を使って乾かします。これらの作業は重労働であり、特に杵で叩く作業は辛く大変なものでした。

ゾー紙の製造は全て手作業で行われ、植物を原料とし、道具も竹や木で作られました。その工程では化学物質は一切使われず、紙自体が酸性を帯びないため、長期保存が可能でした。村人達は技術改良を重ね、17世紀の初めには、朝廷の公文書を書く為の紙として使用されました。イエンタイ村では筆記用や印刷用の紙が、ドンサー村ではドンホー版画などに使われる、幅の広いきめの細かい紙が作られました。

伝統的な紙「ゾー」を作る職業の保存 - ảnh 2 物干し竿を使って乾かします。

ゾーの木の皮はやわらかくて、丈夫な上、墨などで書いても、色褪せしにくいと言われていますが、その紙の用途によって紙作りの最後の工程は異なります。例えば、ドンホー版画に使われるゾー紙の場合は、紙の色の乗りを良くするために、砕いた貝殻ともち米を混ぜて作った糊を表面に塗ります。

こうしたゾー紙作りは1980年代初めまで繁栄しました。伝統的な版画に興味を持つ人が減ったことなどにより、ゾー紙に対するニーズも減ったのです。また、高品質の紙の生産には、大量の水や炉で燃やす為の薪が必要であり、工業生産する紙とは競合できませんでした。そして、重労働であった為、人が離れていったとも考えられます。

画家グエン・マイン・ドゥクさんは次のように語りました。

(テープ)

「ゾー紙は美術的に価値が高いですから、多くの画家に好まれています。ゾー紙に絵を描くと、何となく自由で素朴な感じがします。ゾー紙に書かれた絵が好きなお客さんも多いです。しかし、それだけは不十分です。そのニーズは少ないですから、ゾー紙作りはまだ衰退状態にあります。そのため、紙作りに従事している職人たちの努力はもちろん、国の支援が必要だと思います。」

伝統的な紙「ゾー」を作る職業の保存 - ảnh 3 ゾー紙に書かれた昔の資料

現在は、バクニン省のズオンオ村の数軒がゾー紙の生産に携わっています。工程の中には、機械化されている部分もありますが、ゾーの木の皮をむいたり、紙を漉く作業など、昔ながらの光景も見ることができます。規模はとても小さくなってしまいましたが、紙作りの技術は、何世代にもわたり、現在まで受け継がれています。ズオンオ村の職人ゴー・トゥ・フイエンさんは次のように話しました。

(テープ)

「かつてはゾー紙が幅広く使われたので、ゾー紙作りは繁栄していました。現在は、ゾー紙が日常生活にあまり使われないので、そのニーズは低いです。そのため、これからの課題は、ゾー紙の適用性を広げることです。現在、我が家のゾー紙は、いくつかの政府機関の他、書道や絵画が好きな人に販売していますが、幅広く使えるように、創意工夫が必要だと思います。」

ゾー紙の各種類の中で、かつての王朝の任命書や表彰状などに使われる「サックフォン」と呼ばれるゾー紙は特別なものです。サックフォンは普通の状況で700年間も保存できると言われています。このゾー紙の製造は、ハノイにあるチュンニャ村に住むライという一族だけができます。この一族の一人ライ・フー・チャックさんは次のように話しました。

(テープ)

「現在は、ゾー紙「サックフォン」を作っていませんが、この紙の製造技術は我が家が大切に保存しています。この製造技術に詳しい人はたぶん私以外、いないと思いますので、関係省庁に対し、この技術を失くさないように、対策をとってもらえればと思います。この紙はとても特別なんですよ。」

現代生活において、ゾー紙作りの保存は簡単ではありませんが、ベトナムの独特な文化なので、必ず守らなければなりません。

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